中国医学古典では、気の思想を多分に取り入れています。気は身体を構成し、その生命活動をめぐらせている“元気のもと”です。もしも、気の流れが滞って過不足が生じるとき、健康を害して病気がつくられるのです。まさに、気とは自然治癒力の源であり、働きの象徴でもあります。
経絡と神経系という違いがあっても、“自然治癒力のめぐり”という観念は、カイロプラクティックとも共通しています。
「気」という元気のもとには、父母から授かった先天の気と、飲食や運動によって養われる後天の気があります。気は養わなければ、日常生活のなかで失われてゆきます。いくら施術を受けて気のめぐりを良くしても、元気の絶対量が不足していては健康を保つことができません。
鍼灸は、自然治癒力の働きを促すことに優れた療法であることが、長い伝統によって裏付けられています。しかし、自然治癒力が少なくなった高齢者は、鍼灸療法が苦手とする対象なのかもしれません。鍼灸マッサージ師として巣鴨地蔵通り商店街を歩くとき、いつも考えさせられます。
鍼灸・按摩マッサージ指圧だけでなく、カイロプラクティック・マニピュレーション・モビライゼーションも、飲食や運動といった養生法と相まってこそ、高齢社会に適する手技療法と成り得るのでしょう。この点において、介護予防の研究成果は、高齢社会における自然療法の良い道標になると思われます。