カイロプラクティック

病気の根本にみる緊張度の過不足

脊柱を操作する」の内容について、カイロプラクティックのことをもう少し詳しく説明します。

新しい手技療法の誕生

ダニエル・デイビット・パーマー(D.D.Palmer)は、カイロプラクティックの創始者です。D.D.パーマーは、多くの患者さんの苦しみを和らげるために研究を重ねた結果、次のような疑問を抱きます。

ある人が病気になっても、同じ店の同じ作業台で仕事をしている同僚が、なぜ同じ病気に罹らないのだろうか?

この疑問から「病気の原因は、身体の外部にあるのではない」と推察しました。それでは、何が原因となり、病気が発症するのでしょうか。

D.D.パーマーが、この疑問に解答を得たのは、1895年9月に初めて脊椎矯正をおこなったときです。最初に脊椎矯正を受けたのは、ハーベイ・リラードでした。彼は、耳が不自由で、通りを行く馬車の音さえ聞こえませんでした。D.D.パーマーは、彼が17年前、無理な姿勢でかがんだとき、背中がガクッと崩れるような気がして、それと同時に耳が聞こえなくなったという経緯を知っていました。そこでD.D.パーマーは、彼の身体を調べてみました。すると、脊柱のひとつが、正常な位置から歪んでいたのです。

この脊柱を元の位置に戻せば、彼の聴力は回復するかもしれない

D.D.パーマーは、問題の脊柱部に手をかけて、正常な位置に戻すように刺激を加えました。すると間もなく、彼の聴力は回復したのです。これが、D.D.パーマーの「脊柱を矯正する」という新しい健康科学を世に送りだす第一歩となった出来事です。

この「脊柱を矯正する」という治療方法は、薬やメスを使用せず「手」によって病気の根源を取り除く医療として、ギリシャ語の「手」Chiroと「施す」Practicosを組み合わせて「カイロプラクティック」と命名されました。

バートレット・ジョシュア・パーマー(B.J.Palmer)は、父であるD.D.パーマーにより創始されたカイロプラクティックを発展させ、上部頸椎カイロプラクティックを提唱しました。やがて、カイロプラクティックは多方面に進歩しながら、世界各地へと広がっていきます。

歪みを目安に機能を改善する

「構造は、機能を支配する」とされます。脊柱に歪みがあると、脊柱の働きも悪くなります。けれども、歪みの大きさが症状に比例するとは限りません。もしも、症状の増悪が脊柱の歪みの度合いに比例するなら、腰が大きく曲がったお年寄りが、スタスタと歩いている姿が説明できません。

脊柱は、体を支える“柱”の役割とともに、脊髄を通す“管”や脊髄から全身に伸びる神経が出入りする“穴”を構成しています。そのため脊柱に歪みが生じると、神経の働きを阻害して緊張度に過不足をつくります。

神経の機能障害、緊張度の過不足こそ、症状の根本にある原因となります

カイロプラクティックの創始者であるD.D.パーマーは、病気の根本原因が、神経の緊張度(トーン)の過不足にあると説いています(増田,2000)。そして、この神経の緊張度に乱れをつくる障害部位が「脊柱」というのです。そのため、脊柱の固着や歪みを癒し機能を改善することを中心に施術をおこなうのです。

脳-脊髄からつながる神経は、脊柱の各高位にある穴(椎間孔)から出入りして、それぞれの領域・器官を支配しています。ところが、ある高位で脊柱機能が障害されると、そこを通る神経も過剰な刺激を受けて、支配領域の緊張度・機能を乱します。すると、神経による統制を乱した部位・組織は、自然治癒力が低下して、やがて病的な状態におちいります。

カイロプラクティックの治効理論に従い、神経機能の乱れを「病の根本原因」と理解します。そして、第一に症状の「要」にある脊柱に歪みを整える方向に、操作・矯正刺激を施します。すると、その刺激が関節機能の改善を促すなかで、動きは増大していきます。関節の動きが増大することで、筋肉も十分に伸長・リラックスされ、症状の根底にある緊張度の過不足も緩和されます。

機能の改善が悪循環を断ち切る

痛みやストレスによる刺激は、筋肉にコリをつくります。すると関節の可動性が減少したり、血液循環を阻害したりします。そして、組織に酸素欠乏をきたすと発痛物質が放出されます。これにより新たな痛みが加えられ、次々と痛みを増幅させていくという「痛みの悪循環」におちいります。

長期にわたり血液循環が阻害された状態が続くと、関節周辺の軟部組織に変性が現れます。そして、関節組織をこわばらせ、動くたびに過剰な刺激が生じます。この過剰な刺激が痛みとなり、さらに筋肉をこわばらせながら、痛みの悪循環を形成していきます。

痛みの悪循環が、脊柱で神経系の働きを阻害すると、複合的な病態を呈するようになります。

そこで、脊柱の歪みを整える方向に操作・矯正を施します。そして、「血液循環、筋肉のコリ、関節の可動性、緊張度」といった可逆的因子を改善することで、この悪循環を断ち切り、症状の改善をはかっていきます。

また、ストレスや婦人科症状など、運動器疾患以外の症状で緊張度のバランスが失調しても、痛みの悪循環が形成されると様々な不定愁訴が生じます。そのような場合、関節操作・矯正を施すことで体調が整い、良い効果を示す例が多く報告されています。

自然治癒力の源は、どこに

脊柱への操作・矯正は、神経系を介して自然治癒力を促します

何らかの理由で体内環境が乱れたり、組織が障害されたりすると、ただちに異常は検出され、その情報は神経を介して脳に伝えられます。脳では、集められた情報を処理して、適切な反応をするための命令を、神経を介して各組織に送ります。そして、身体各機能を総動員して修復し、正常な状態へと復帰させます。

このように脳と全身は、神経系のネットワークで結ばれています。そして、神経系のネットワークの輪を情報が滞りなく流れることで、体内の健康が維持されています。

「脳から遠心性神経を介して組織細胞への伝達と、組織細胞から求心性神経を介して脳に帰っていく、神経サイクル」の様子は、安全ピンと似ています。そのため、カイロプラクティックにおいて、この神経系の流れは安全ピンサイクルと呼ばれています。

自然治癒力の源は脳にある

カイロプラクティックでは、病気を癒す力(自然治癒力)の源が脳にあると考えています。脳には、生命を維持するための情報が全て備わっています。その脳からの指令が、100%身体の隅々にまで行き渡るとき、人は健康を維持することができるのです。

常に100%のメンタルフォースが「体の隅々まで神経を介して伝達される」状態が、まさに健康な状態だといわれます。

ところが、神経系のネットワークに乱れが生じることがあります。すると、脳からのコントロールを失った部位は、自然治癒力が低下して組織は弱化します。そして、ちょっとした事を引き金にして、簡単に障害されるようになります。また、修復にも手間取り、病気の「火の粉」がくすぶり続けます。その病的な状態は、関連する部位にも飛火します。このように神経系の乱れは、支配する領域を病的な状態にして、様々な症状をつくる下地(根本原因)となります。

脊柱の機能障害が、神経系にも悪影響を及ぼす

神経系のネットワークのなかで、とくに障害のおきやすい場所は「脊柱」です。脊柱は、体を支える「柱」の役割を担っています。また、脊髄を通す「脊柱管」を構成しています。さらに、脊髄から全身に伸びる神経が出入りする「椎間孔」も構成しています。このように、脊柱は、複雑な構造で体を支えながら大きく動きます。そのため、日常生活のなかで、常に負担がかかっています。

カイロプラクティックは、神経系の働きを阻害している脊柱の歪みや固着に矯正刺激を施します。そして、神経系のネットワークを整えることで、自然治癒力が働きやすい環境をつくります。そこに、病気の根本を取り除く自然医療としてのカイロプラクティックの本質があります。

脳には、生命を維持するための情報が全て備わっています

病気を癒す自然治癒力の働きは、フランスの生理学者であるクロード・ベルナールが提唱する「ホメオスタシス(生体恒常性)維持機構」ともいえるでしょう。ホメオスタシスとは、体内環境を一定の良い状態に維持するための働きのことです。

この生命活動の基礎となる働きにより、外からの刺激や変化に順応して、望ましい健康状態を保てるのです。ホメオスタシス維持機構は、神経系・内分泌系・免疫系が密接に関連して働いています。そのなかで神経系は、とくに重要な働きを担っています。

また、私たちに内在する病気を治す力、自然治癒力により症状は緩和し、やがて治癒するものです。ヒポクラテスは、「病は自然が治し、神は傷を癒し、我はただ包帯をするのみ。人間には偉大なる自然治癒力があり、その力を引き出すのが治療の鍵である」という言葉を残しています。

「いつまでも症状が緩和されない」「いつも調子が悪い」という方がおいでになります。ヒポクラテスの格言から察すれば、自然治癒力の働きを引き出すことができない状態にあると考えられます。さらに、クロード・ベルナールの説からみれば、外からの刺激や変化に体内環境がうまく順応できない状態にあるともいえます。

神経系のネットワークが正常に機能していない

カイロプラクティックは、脊柱の歪み・固着と神経系の働きを重視した療法です。カイロプラクティックでは、病気を癒す力(自然治癒力)の源が脳にあると考えています。脳には、生命を維持するための情報が全て備わっています。

何らかの理由で体内環境が乱れたり、組織が障害されたりすると、ただちに異常は検出され、神経を介して脳に伝えられます。脳では、集められた情報を処理して、適切な反応をするための命令を、神経を介して各組織に送ります。そして、身体各機能を総動員して修復し、正常な状態に復帰させます。このように脳と全身は、神経系のネットワークの輪で結ばれています。そして、脳からの指令が滞りなく、100%身体の隅々にまで行き渡るとき、体内の健康を維持することができるのです。

カイロプラクティックがいう健康な状態とは

カイロプラクティックでは、「脳から遠心性神経を介して組織細胞への伝達と、組織細胞から求心性神経を介して脳に帰っていく、神経サイクル」の様子が安全ピンに似ているので、安全ピンサイクルと呼ばれています。そして、常に100%のメンタルフォースが「体の隅々まで神経を介して伝達される」状態を健康だとしています(塩川,1999)。


塩川満章(1999)臨床カイロプラクティック 哲学・科学・芸術.ルネッサンス・ジャパン.p.17-18.

カイロプラクティックは内側から調和をもたらす療法です

カイロプラクティックの創始者であるD.D.パーマー (Daniel David Palmer,1845-1913)は、病気と神経の関係について、次のように述べています。

・ 病気はトーンが過剰になったり過少になったりして起こる

・ 大半の病気はトーンが過剰になった場合に生じる

このトーンとは、「神経の正常な緊張の謂いである」といわれます。そして、「カイロプラクティックの基本原則はトーンである」とされます(増田,2000)。

D.D.パーマー は、神経の緊張の程度が健康か病気かを決めるといいます。そして、神経の緊張度の過多や過少が、病気の根本にあると考えました。さらに、神経系の過不足ない流れ(トーン、緊張度)を整えるとき、自然治癒力という「内なる力」が症状を癒し、自律的に病気を治してくれるというのです。

神経系のネットワークで、障害のおきやすい場所は「脊柱」です

脊柱は、負担が限度を超えると、疲弊して正常な動きを失い、固着していきます。そして、固着した状態が続くと、警告の痛みを発するようになります。この痛みは、筋肉を硬くして、さらに脊柱の固着を強くします。すると、血液循環も阻害されるようになり、組織は弱化して、やがて歪みが作られてゆきます。

また、脊柱の固着や歪みは、過剰な刺激を発します。そして、近くの脊髄や神経根に悪影響を与えるようになり、緊張度に過不足が生じます。この神経系の乱れにより、脳からの統制(自然治癒の働き)を失った部位は、変調をきたして、思わぬ症状を呈するようになります。

内側から調和をもたらす施術効果

頸椎や腰椎には、日常的に相当の負担がかかっているため、固着や歪みが生じやすくなります。そして、この固着や歪みを根本原因として、頭痛や肩コリ、腰や膝の痛みなどがおきます。このような運動器疾患は、カイロプラクティックが適応とされる症状です。

また、カイロプラクティックが有効なのは、運動器疾患に限られるわけではありません。病態が慢性化するに従い、自律神経の働きが乱れるようになります。自律神経のバランスが乱れると、冷え、ほてり、精神的なイライラ、不眠、下痢や便秘、全身の倦怠感などの不定愁訴が生じることがあります。

このような複雑に絡み合う症状こそ、その病態の根本にある原因を癒し、全体の調和を整える必要があります。カイロプラクティックは、病気の根本原因を取り除く療法として、自然治癒力が働きやすい環境を整えます。この効果から1997年1月、WFC(世界カイロプラクティック連合)は、正式にWHO(世界保険機構)への加盟が承認されました。現在では、自然医療を見直す動きが、医療技術の進んだ先進国ほど活発になっています。それと同時に、内側から自然治癒力を高めるカイロプラクティックへの期待が高まっています。


増田裕(2000)カイロプラクティックの基本原則はトーンである.カイロプラクティック神経学(3).Spinal Column;103:p.8-9.

ポキッという矯正音をさせることが、施術の目的ではありません

脊柱は、体を支える「柱」の役割を担っています。また、脊髄を通す「管」を構成しています。さらに、脊髄から全身に伸びる神経が出入りする「穴・孔」も構成しています。このように脊柱は、複雑な構造で体を支えながら大きく動きます。そのため、日常生活のなかで、障害を受けやすい部位となります。

脊柱が障害されると、その部位に痛みと過剰な緊張がつくられ、近くを通る神経系のネットワークにも悪影響を与えるようになります。すると、正しい情報と指令が、脳と全身を行き来できなくなります。

こうして脳からのコントロールを失った部位は、自然治癒力が低下して組織は弱化します。そして、ちょっとした事を引き金にして、病気がつくられるようになります。また、治癒にも手間取り、病気の「火の粉」がくすぶり続けます。そして、関連する部位にも飛火してゆきます。このように神経系のネットワークの乱れは、支配する領域を不健康な状態にして、様々な病気をつくる下地(根本原因)となりえます。

脊柱の歪みは、過剰な緊張が持続された結果です

脊柱に無理がかかり続けると、過剰な緊張が関節に固着をつくり、やがて歪みとなって現れます。脊柱に固着や歪みが生じると、関節内の圧力が異常に高くなります。そして、関節を硬くすることで動きを制限しながら、脊柱が、これ以上に障害されることを防衛するのです。

防衛反応は、ときとして過剰な痛みをつくり、治ろうとする働きも抑制します。そこで、脊柱の固着をゆるめ、歪みを整える方向に操作・矯正刺激を施しながら、低下した脊柱の機能回復を促すのです。このとき、伸ばされた関節内で気泡となったガスが、関節の中心部に集まります。そして、関節内の負の圧力が失われたとき、「ポキッ」とはじける音がすることがあります。

ポキッという矯正音は、関節面がこすれる音ではない

矯正時の音は、「関節の空隙化」と呼ばれます。操作・矯正刺激を施して空隙化した脊柱は、柔らかくなって可動性が増大します。また、脊柱が正常に動くことで、筋肉や靭帯がストレッチされて、関節周辺にある感覚受容器も刺激されます。そして、運動にともなう感覚神経への刺激が、痛みを伝える神経の働きを抑制して痛みを和らげてくれます。

脊柱への操作・矯正刺激は、固着や歪みを整えながら過剰な緊張を軽減して、神経系のネットワークの乱れを癒します。そして、自然治癒力が働きやすい環境をつくることで、多くの症状に良い効果をもたらします。

矯正音を目的とした施術は危険

ただし、ポキッという矯正音は、関節内の負の圧力が失われた一つの目安であり、施術効果を左右するものではありません。矯正音を目的とする施術は、目的をはき違えているだけでなく、弱化した脊柱には危険極まりないものといえます。

老年の症状と骨性の変形

加齢に伴う骨性の変形が、その痛みの直接的な原因といえるでしょうか

老化が関連する症状には、変形性腰椎症や変形性膝関節症など「変形性」と名付けられた病気があります。そして、これらの痛みの原因について、巷には「変形があるから」と解説する情報もあります。

たしかに、痛みに関連する領域には、相応の骨性の変形が認められます。しかし、骨棘や関節の摩耗など骨性の変形が痛みの直接的な原因なら、保存療法で痛みを和らげることは難しいでしょう。

保存療法とは、「治療体系において、手術療法以外の治療方法(非観血的療法)」のことです(リハビリテーション医学大辞典)。「整形外科領域では、薬物療法、包帯ギブス固定方、牽引療法、理学療法、運動療法、作業療法、装具療法が含まれる」とされています(最新 医学大辞典)。カイロプラクテック・マニピュレーション・モビライゼーションだけでなく、マッサージ、鍼療法、温熱療法も保存療法といえます。

加齢に伴う骨性の変形が予想される腰痛や膝関節痛でも、まずは保存療法が試みられるのが一般的です。そして、多くの患者さんが、保存療法によって痛みの軽減、寛解を得ています。しかし、骨性の変化が、保存療法によって「治った」ということなど考えられません。

何が変化して、痛みが和らいだのでしょうか?

腰椎や膝関節にみられる骨性の変化は、腰痛や膝関節痛の患者さんにのみ認められるものではありません。50歳以上になれば、普通に生じてくる生理的な変化だとされています。

老化に起因する痛みは、椎間板や半月板の変性、軟骨の摩耗、骨棘の形成に加えて、関節の不安定性に基づく緊張、疲労、循環障害、炎症など、さまざまな因子が複合して発症します。そのなかには、「可逆的な因子」と「不可逆的な因子」があります。

当治療院がおこなう関節操作・矯正刺激では、骨性の変形を癒すことはできません。しかし、低下した関節機能を高める、靭帯や筋肉の過緊張を和らげる、血液循環を促して炎症や疲労の軽減をはかることは可能です。このように、可逆的な因子を改善してゆくことで、加齢による骨性の変形をみとめる症状でも、痛みは緩和できるものと考えます。

ただし、骨性の変形が著しい場合は、当治療院がおこなう保存療法の和痛効果は限定的かもしれません。そのため、十分な検査と病状の経過をかみしながら、施術の適応を判断しています。年だからとあきらめる前に、どうぞご来院いただきたく願います。


後藤稠 編(1991)最新 医学大辞典.第1版6刷.医歯薬出版.

上田敏・大川弥生 編(1996)リハビリテーション医学大辞典.第1版1刷.医歯薬出版.

巣鴨地蔵通り商店街には、手技療法の課題が垣間見られます

自然医療(自然系の医学)は、生来人間に備わっている自然治癒力を重視して、その働きを高めることで病気を癒そうとします。病気を病名で縛ることを嫌い、病気の現れた局所にとらわれることなく、全体として心身が健康的な状態になることを目指します。

手技や理論は異なれ、カイロプラクティック・マニピュレーション・モビライゼーション、鍼灸・按摩マッサージ指圧は、自然医療の範疇に入るものといえます。

過不足なく一定に流れる水は濁らない、健康もしかり

中国医学古典では、気の思想を多分に取り入れています。気は身体を構成し、その生命活動をめぐらせている“元気のもと”です。もしも、気の流れが滞って過不足が生じるとき、健康を害して病気がつくられるのです。まさに、気とは自然治癒力の源であり、働きの象徴でもあります。

経絡と神経系という違いがあっても、“自然治癒力のめぐり”という観念は、カイロプラクティックとも共通しています。

他力では、めぐらせても養うことはできない

“気”という元気のもとには、父母から授かった先天の気と、飲食や運動によって養われる後天の気があります。気は養わなければ、日常生活のなかで失われてゆきます。いくら施術を受けて気のめぐりを良くしても、元気の絶対量が不足していては健康を保つことができません。

鍼灸は、自然治癒力の働きを促すことに優れた療法であることが、長い伝統によって裏付けられています。しかし、自然治癒力が少なくなった高齢者は、鍼灸療法が苦手とする対象なのかもしれません。鍼灸マッサージ師として巣鴨地蔵通り商店街を歩くとき、いつも考えさせられます。

鍼灸・按摩マッサージ指圧だけでなく、カイロプラクティック・マニピュレーション・モビライゼーションも、飲食や運動といった養生法と相まってこそ、高齢社会に適する手技療法と成り得るのでしょう。この点において、介護予防の研究成果は、高齢社会における自然療法の良い道標になると思われます。

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