あん摩マッサージ指圧師/はり師 きゅう師(1989年/90年取得・国家資格)
豊橋 鈴木整形外科 鈴木裕視医師にカイロプラクティックを師事
ほんがわ治療院 1999年開院
残り物には福があるということでしょうか、はたまた刷り込み効果(imprinting effect)でしょうか。鍼灸マッサージ師でありながら、最初に師事した整形外科医師の教えにしたがい、脊柱を中心にした施術をおこなっています。
鍼灸マッサージ師の資格取得後は、中国にでも勉強に行こうかと思っていると天安門事件で挫折。では、教員養成課程にと受験するも「陰陽論や運気論など、東洋思想を学びたい」と面接で答え、教員になる気が全くないことが露見して不合格。卒業式を前に行くあてもなく、カイロプラクティックが大好き!という整形外科でお世話になりました。
豊橋市の鈴木整形外科院長 鈴木裕視医師は、股関節の人工関節の研究を通した重心線(姿勢バランス)への理解から、臨床のなかにカイロプラクティックを取り入れておられました。
また、上京してからは、鈴木先生と親交のあった菊栄一先生からカイロプラクティックのテクニックに関する手ほどきを受けました。さらに、塩川満章D.C.のガンステッドセミナーに参加したり、ハンズプラクティスカレッジ東京ではカイロプラクティック専科にて臨床総論・各論の講義を受け持たせていただいたりしました。
この時期に学んだ知識や技能が、当治療院がおこなう施術の基本となっています。
手技療法をご指導いただきました鈴木先生は、カイロプラクティックだけでなく、鍼療法(主に円皮鍼)や操体法なども整形外科の臨床で活用されておられます。当治療院では、鈴木先生が提唱する力学的和痛手技療法・経皮物理的刺激療法を治効理論として取り入れています。
そして、脊柱への操作・矯正(カイロプラクティック)を中心に、四肢からの運動操作(マニピュレーション)、鍼療法(円皮鍼)、マッサージを組み合わせたスタイルで、各人の病態やご希望に合わせて施術をプログラムいたしております。
開業当初は、ご指導いただいた鈴木整形外科医師 鈴木裕視先生の教えもあり、カイロプラクティックという名称を使っていました。そして、鈴木先生の臨床からカイロプラクティックを中心として、操体法、鍼療法、マッサージを併用してきました。
ところが、スコット ハルディマンはマニピュレーションについて、「より早い敏速のテクニック」と定義する一方、「脊柱マニピュレーション(spinal manipulation)という言葉は、過去あいまいに使用された。多くの場合、筋や関節の治療に用いられるすべての手技テクニックを意味した」と指摘しています。
臨床経験を重ねるうち、おこなっている種々混合の療法と純粋(ストレート)な脊柱操作・矯正は、区別する方が適切なのではないかと考えるに至りました。
マニピュレーションの定義を考慮して、より早い敏速のテクニックを「脊柱サブラクセイションに集中した操作・矯正」と「四肢の機能障害にまでひろげた操作・矯正」に区分しました。
そして、脊柱への敏速のテクニックを「カイロプラクティック」、ゆるやかな関節テクニックであるモビライゼーション・ストレッチを含めて「マニピュレーション」、筋肉などへの軟部組織テクニックを「マッサージ」として、施術コースをご用意いたしました(平成29年8月まで)。
鈴木先生は、常日ごろ「ゴチャゴチャと理屈をこねているうちは、理解に至っていないのだ」といっておられました。なるほど、「これはカイロプラクティック」「あれはマニピュレーション」「マッサージは別もの」と無理に細かく区別しようとしてきたのは、私の手技療法に対する理解が稚拙だったからかもしれません。50歳になった頃から、そのように感じられます。
施術者となり31年、開業して22年となるのを機に、教えていただいた施術の原点に回帰してみようと考えます。そこで、施術コースを4つに分けました。そして、マニピュレーション コースを中心に施術をおこなってまいりたいと存じます。施術の詳細は「施術方法と料金」を参照ください。
南池袋にて手技の治療院を開業して25年を前に、実家の母が病気となりました。そこで当分の間、治療院をお休みすることになりました。ご来院いただいていた患者さんには、各人に適した治療院等をご紹介させていただきました。
一年ほどお休みして治療院を再開するにあたり、今後は「視覚に障害があっても対応できる施術」をテーマにしていこうと考えました。そして、カイロプラクティックの治効理論に基づき、ゆるやかな関節操作(モビライゼーション)を中心に鍼療法を加えた施術をおこなうことにいたしました。
手技療法は症状に合わせて「どの部位に、どのような治療刺激を、どれだけ加えるか」を考えます。
これまでは師の教えに従い、症状に関連する神経の流れ・緊張度を阻害している脊柱の歪み・固着(subluxation)を整える方向に、より早い敏速な矯正刺激(adjustment)を施してきました。これからは、
・どの部位に:脊柱を中心に(変わらず)
・どのような治療刺激を:関節への運動刺激を(敏速な→ゆるやかな)
・どれだけ:刺激時間(断続的に→持続的に)
ひと昔前なら定年退職の年齢となりました。これからは師の教えを少し離れ、自分の得意な手技に集約して技能を高めてまいります。そして、ご来院いただく皆様のお役に立つとともに、次の世代に受け渡せるものを一つでも半分でも残せたらと考えています。
スコット ハルディマン:本間三郎.竹谷内宏明監訳(1994)カイロプラクティック総覧(2)エンタプライズ:p.624.
鈴木裕視(1975)重心線を記録した全身X線写真と重心動揺記録の併用による下肢機能評価の試み.醫科器械學雜誌.45(12): p.618-626.
鈴木裕視(1979)X線写真でみる歪の発現とその変化(1).操体法写真解説集.柏樹社.
鈴木裕視(1994)試論「操体カイロ」の和痛機序と症例.マニピュレーション症例報告集.エンタプライズ.
鈴木裕視(1995)力学的和痛手技療法の治効促進.日本人の体質劣化対策(3).東三河医学会誌.17; p.31-42.
鈴木先生の言葉が懐かしく思うのは、その言葉が今でも、施術者としてあるまじき不養生な自分に大喝一声をくらわせているからなのでしょう。
喫煙や過量の飲酒、偏食、運動不足などは、健康にとって有害であることを誰もが知っています。しかし、それを戒めて生活を正すことは、なかなか出来るものではありません。私も、その一人でございます。
「分かる」ということは、とても難しいものです
大学の恩師は、植木等の歌の節になぞらえて、「分かっちゃいるけどやめられない」というのは、実は「分かっちゃいない」のだと述べておられます(森,1990)。なるほど、あの能天気な歌詞の裏には、このような深い意味が隠されていたとは。さすがは印度哲学・・・と感銘を受けるしだいです。
この頃、カイロプラクティックをご指導いただいた整形外科医師 鈴木祐視先生の言葉が、妙に懐かしく思い出されます。
ベッドに横になって治療を受けているだけでは、よくならない
そう言っては、老若男女を問わずホームエクササイズ・運動を推奨しておられました(院内では、ほぼ強制的に)。
要介護リスクの高まった虚弱高齢者が急増している現状からみて、「筋力の維持・向上に努めよ」という先生の指摘には先見性を感じます。
ただし個性の強い先生でしたから、その語り口も鮮烈でした。たとえば、ある腰痛の患者さんが、次のような質問をしました。
どうして腰が痛くなったのでしょうか
すると、先生はこのように答えられました。
日頃の心がけが悪いからです
今考えると、たいへんに意味深い言葉だと思います。しかし、これを聞いた若かりし当時は、のけぞって驚いたことを記憶しています。
ところで、 私は日頃の臨床のなか、ベッドサイドをウロウロするだけで運動不足の毎日を過ごしています。そして、炭水化物大好き~という食生活・・・このような私は、患者さんの日常生活にアドバイスできるはずもありません。
人間には、自然に病気を癒す力が備わっています
その力を尊ぶ自然医学が拠り所とする思想・哲学は、自然に反する悪い生活・生き方が病気をつくると戒めます。
自然を手本として、自然治癒力にゆだね、自然の道理を医療に応用したのが東洋医学であり、カイロプラクティックも同様と考えます。
しかし老病死も、また自然の道理です
老いには、努力により否定できる老いと、宿命として否定できない老いがあります。
加齢変化を“悪行”の結果と否定するだけでは、人生の終末を、あきらめと失望で迎えることになります。
高齢化により増加する病気や障害を、単に拒絶するだけの施術者になってはいけないと思案するも、難儀します。
手技療法をご指導いただいた整形外科医師 鈴木祐視先生の教えを胸に、「終末まで すこやかを めざす医療」であればこそ、加齢変化に抗する医療技術とともに、
自然な老いの衰退・喪失を受容して、前向きに生きるための医療哲学を求めてやみません
鍼灸マッサージ師という立場から、介護予防を通して、この哲学を探求しています。
森章司(1990)仏教思想の発見-仏教的ものの見方-.北辰堂.p.50.
鈴木整形外科は現在、「鈴木整形外科 訪問看護ステーション」として活動されています.
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