老年の症状と骨性の変形

2023, 2, 14

老化が関連する症状には、変形性腰椎症や変形性膝関節症など「変形性」と名付けられた病気があります。そして、これらの痛みの原因について、巷には「変形があるから」と解説する情報もあります。

加齢に伴う骨性の変形が痛みの原因なのか?

たしかに、痛みに関連する領域には、相応の骨性の変形が認められます。しかし、骨棘や関節の摩耗など骨性の変形が痛みの直接的な原因なら、保存療法で痛みを和らげることは難しいでしょう。
保存療法とは、「治療体系において、手術療法以外の治療方法(非観血的療法)」のことです(リハビリテーション医学大辞典)。「整形外科領域では、薬物療法、包帯ギブス固定方、牽引療法、理学療法、運動療法、作業療法、装具療法が含まれる」とされています(最新 医学大辞典)。カイロプラクテック・マニピュレーションだけでなく、マッサージ、鍼療法、温熱療法も保存療法といえます。
加齢に伴う骨性の変形が予想される腰痛や膝関節痛でも、まずは保存療法が試みられるのが一般的です。そして、多くの患者さんが、保存療法によって痛みの軽減、寛解を得ています。しかし、骨性の変化が、保存療法によって「治った」ということなど考えられません。

何が変化して、痛みが和らいだのか?

腰椎や膝関節にみられる骨性の変化は、腰痛や膝関節痛の患者さんにのみ認められるものではありません。50歳以上になれば、普通に生じてくる生理的な変化だとされています。
老化に起因する痛みは、椎間板や半月板の変性、軟骨の摩耗、骨棘の形成に加えて、関節の不安定性に基づく緊張、疲労、循環障害、炎症など、さまざまな因子が複合して発症します。そのなかには、「可逆的な因子」と「不可逆的な因子」があります。
当院がおこなう関節操作・矯正刺激では、骨性の変形を癒すことはできません。しかし、低下した関節機能を高める、靭帯や筋肉の過緊張を和らげる、血液循環を促して炎症や疲労の軽減をはかることは可能です。このように、可逆的な因子を改善してゆくことで、加齢による骨性の変形をみとめる症状でも、痛みは緩和できるものと考えます。
ただし、骨性の変形が著しい場合は、当院がおこなう保存療法の和痛効果は限定的かもしれません。そのため、十分な検査と病状の経過をかみしながら、施術の適応を判断しています。年だからとあきらめる前に、どうぞご来院いただきたく願います。

後藤稠 編(1991)最新 医学大辞典.第1版6刷.医歯薬出版.

上田敏・大川弥生 編(1996)リハビリテーション医学大辞典.第1版1刷.医歯薬出版.


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