当治療院の特徴・長所

症状が増悪した経過を逆回りに癒していく

脊柱を操作する」の内容について、当治療院の施術への理解をもう少し詳しく説明します。

ゆるめて、動かして、整えます

症状が慢性化するなかで緊張した状態が持続すると、やがて筋肉にコリがつくられます。すると、血液の流れが悪くなり、疲労物質が蓄積したり、栄養や酸素の供給が阻害されたりします。そして、小さな刺激も痛みとして感じるようになり、緊張度やコリ感を増悪する悪循環が形成されます。

筋肉のコリは、関節をかたくして動きを悪くします。かたくなった関節は、動かすたび過剰な刺激が生じるようになります。

その過剰な刺激によって痛みと緊張が増すことで、ますます関節は固着していきます。このような関節の機能障害は、やがて関節に歪みをつくっていきます。

当治療院の施術は、症状が増悪した経過を逆回りに紐解くように、症状の根本にある原因を検査・分析します。そして、“脊柱の歪み・神経の緊張度を整える”ことを中心に施術をプログラムします。

機能を改善し、緊張度を整える領域

当治療院の施術を説明するにあたり、「脊柱の歪みをまっすぐに整える療法」という表現は正確ではありません。症状に関連する脊柱の歪みや固着に、手による圧力と緊張を効果的に加えることで、神経のトーン(緊張度)を整える療法だとご理解ください。

正常な関節の可動域は、自分で動かせる角度よりも、他人に動かしてもらう方が、もう少し深く曲げることができます。関節の可動域に“遊び”の部分があるから、ストレスもなく滑らかに動かすことができるのです。ところが、関節に固着や歪みが生じると、可動域に遊びの部分が失われます。すると、ギシギシと動かすたびに、関節の周囲にたくさんある知覚神経を刺激するようになります。

とくに、脊柱からは、全身に分布する神経が出入りするので、その影響を強く受けます。そして、神経の働きが乱れると、その支配領域の自然治癒力が阻害され、さまざまな症状の根本原因をつくります。

そこで、症状の関連する脊柱を中心に、遊びの部分に可動性の減少がみられる関節面に沿って、振幅の短い矯正刺激を施します。こうして関節機能を改善していくことで、神経の働き(トーン・緊張度)が整い、自然治癒力が促されていきます。

操作・矯正刺激は、失われた関節の“遊び”の部分という小さな領域に、小さな力で施されます。そのため、慢性症状により弱化した組織を傷つけるような粗暴な手技では、決してありません。

補助療法として、円皮鍼・鍼療法

症状が慢性化すると、筋肉にコリをつくりながら歪んだ脊柱のバランスをとろうとします。そのため、歪みを整える方向に矯正刺激を施すと、これまで歪みを補正してきた筋肉のコリが表面に浮き出てきます。そして、この筋肉のコリが、再び歪みのある状態にもどろうと作用します。

このようなときは、矯正刺激により現れた筋肉のコリをゆるめることで、より施術効果が向上します。

当治療院では、矯正刺激を施した後に現れる筋肉のコリに対して、鍼療法として円皮鍼を用いています。円皮鍼は、持続した効能として痛み感覚を抑制する刺激としてもはたらきます。このような脊柱操作・矯正の後療法(アプローチ)に、当治療院の施術の特徴があります。

痛みの寛解は、患者さんの関心事でしょう

当治療院は、痛みを主訴とする患者さんに多く来院いただいております。そのため、痛みや施術についてお話しする機会があります。けれども、正確にと思うあまり、小難しい治効理論の話を繰り返していることがあります。説明の技量不足を反省します。そこで、治療院での説明の補足として、施術中にお話している内容のいくつかを記します。

急性期の痛みに「もみほぐす」手技は不適当です

からだには自然治癒力が内在しています。自然治癒力は、健康を保ったり病を治したりするだけでなく、そこに導く最良の方法を知っています。

「痛い、痛い」といいながら患部をもみほぐしますか?

初めてお電話をいただく、ぎっくり腰(急性腰痛)の患者さんのなかには、受傷直後に「痛みを和らげてほしい」とマッサージを希望される方がおいでになります。

当治療院では、受傷直後の痛みに対して、患部へのマッサージはいたしません。それは、炎症の強い急性期の痛みは、患部をもみほぐしても軽減されることがないからです。そればかりか、患部へのマッサージは症状を悪化させる危険があります。

たとえば「足首を捻挫したとき」など、どのような行動をとるでしょうか。 足首を捻った瞬間、患部を手でギュッと強く圧迫して、鋭敏な痛みを和らげようとするはずです。そして、患部を強くさすったり、固定したり、冷やしたりて痛覚を抑制するでしょう。こうして、痛みが治まってきたころをみて、反射的に硬くなった筋肉をもみほぐしながら、「あぁ~痛かった」と一息つくものです。

これらの行動は、すべて神経生理学に基づいた鎮痛のメカニズムにより説明がつきます。しかし、そのような難解な理論を知らずとも、「痛い、痛い」といいながら、炎症が強い患部をもみほぐす人はいないはずです。なぜなら、からだは痛みを和らげる方法を無意識にも知っているからです。

自然治癒力が導く無意識の行動には、症状を軽減して癒してゆく適切な施術へのヒントがあります。カイロプラクティックの手技は、その無意識の行動に反するものではありません。むしろ、自然治癒力が導く動作を科学的に理解し、これを医療として応用する手技といえます。

関節を動かす刺激は、痛みを抑制します

自然治癒力が導く無意識の行動には、症状を軽減して癒してゆく適切な施術へのヒントがあります。

痛みを和らげようとする無意識の動作には、「強く押さえる」「皮膚を擦る」「関節を動かす」があります。「痛い、痛い」といいながら、急性期の炎症が強い患部をもみほぐす人はいないはずです。

関節を動かすことは、自然な鎮痛行動といえます

間違って指を挟んでしまったら、どのような行動をとるでしょうか。「痛たたたたっ!!」と手首を振りませんか。なぜ、手首を振るのでしょうか?それは、手首を振るという行為に鎮痛作用があるからです。

太い神経の働きは、細い神経の働きを抑制します。運動をつかさどる神経は、痛みを伝える神経よりも太く、伝達速度が速くなっています。そのため、運動神経が働くとき、痛覚神経の働きを抑制していきます。ゆえに、手首を振るという運動が、痛覚神経の働きを抑制して、痛みを和らげるのです。これが、ゲートコントロール説です。

・ 太い線維の活動性が細い線維よりも強ければ、ゲートは閉じて痛覚インパルスは抑制される

・ 細い線維の活動性が太い線維よりも強ければ、ゲートは開いて痛覚インパルスは増強される

難しい神経生理学に基づいた鎮痛メカニズムを知らなくても、自然に手首を振り、痛みを和らげようとします。カイロプラクティックは、 手技により身体力学的な刺激(アジャストメント)を効果的に与えることで、このメカニズムを最大限に発揮させようとします。

「もみほぐす」マッサージと「関節を動かす」カイロプラクティックでは、刺激する神経に違いがあります。とくに慢性化した痛みには、積極的に関節へ運動・矯正刺激を施すことで、良い効果が期待できます。

当治療院では、脊柱の責任高位を中心として運動・矯正刺激を施したのち、深部に隠れていたコリ感が表面に浮き出てきたとき、鍼療法やマッサージによる皮膚刺激・押圧刺激をおこなっています。

グラント先生のゲートコントロール説への例え話

グラント・レイド D.C. は、CBP(Chiropractic Bio Physics・生体物理学に基づいたカイロプラクティック)のスペシャリストとして、HPC東京にて教鞭をとっておられました。その先生の著書には、ジョークをまじえた鎮痛のメカニズムについての説明があります。

メルザックとウォールのゲート・メカニズムの一例は、足首の捻挫である。これはもちろん痛みをもたらす。捻挫した直後に、狂犬があなたに向かって走って来たら、あなたはすぐに現場から逃げ出すだろう。猛スピードで走っているとき、脳に感覚情報が伝達される。この情報は、とりわけ固有受容器からのものである。固有受容器が体位を決定する。この情報過多伝達によって、一時的に足首の痛みがブロックされて走ることを可能にしてくれるのである。もちろんその後、あなたは関節にさらに損傷を与えてしまっているので、痛みは以前の2倍のレベルになって戻ってくるが、少なくとも尻に犬の歯型がつくことはない。

ゲートコントロール説によれば、太い神経の働きが細い神経の働きを抑制します。運動をつかさどる神経は、痛みを伝える神経よりも太く、伝達速度が速くなっています。そのため、運動神経が働くとき、痛覚神経の働きを抑制していきます。

カイロプラクティックの手技は、痛みの抑制効果をもたらします

矯正刺激(Adjustment)を施すとき、伸ばされた関節内で気泡となったガスが、関節の中心部に集まります。そして、関節内の負の圧力が失われたとき、「ポキッ」とはじける音がします。この音は、「関節の空隙化」と呼ばれます。空隙化して負の圧力を失うことで、関節が広がり可動域が増大します。

矯正をおこなった関節は、可動域が大きくなり、周囲の腱、靭帯、筋肉などが伸ばされてリラックスします。さらに、関節周辺にある感覚受容器が刺激されます。すると、この太い感覚神経への刺激が、痛みを伝える細い神経の働きを抑制するために、痛みが軽減されるのです。

カイロプラクティックは、 手技により身体力学的な刺激を効果的に与えることで、過剰な緊張度を軽減し、鎮痛メカニズムを最大限に発揮させようとします。


グラント・レイド(2001)カイロプラクティック マニアル.医道の日本社.p.22.

風呂に入って癒されない症状は、ただ血流を促しても治らないのでは

なんらかの原因により痛みやストレスが持続すると、その刺激が緊張となって筋肉にコリがつくられます。筋肉のコリは、血液循環を阻害します。すると組織は、酸素の欠乏をきたし、発痛物質を放出するようになります。これが新たな痛みとなり、緊張と痛みを交互に増幅させながら、痛みの悪循環が形成されます。

長期にわたり血液循環の悪い状態が続くと、関節周辺の軟部組織に変性が現れます。そして、関節組織をこわばらせ、動くたびに過剰な刺激が生じます。この刺激が痛みとなり、さらに筋肉を硬くしながら、複合的な症状をつくっていきます。

とくに症状が慢性化すると、温めて血液循環を促すことが気持ち良く感じます。それは、痛みの悪循環を断ち切り、逆回りの作用として症状を改善へと向かわせるからです。

慢性化した運動器疾患には、温熱療法が有効です。当治療院では温める器具として、遠赤外線灯、遠赤外線セラミックシート、マイクロ波治療器を活用しています。

風呂でおこなう無意識の動作に、症状を癒すヒントがある

風呂に入ることも温熱療法であり、肩こり、腰痛、膝痛などの症状を癒す効果が期待できます。しかし、風呂に入って症状が癒されないなら、何かが足りないのでしょう。

操体法の創始者である橋本敬三は、無意識の反応として「人間は良くなるように良くなるように動きたいという本能をもっている。それも苦しい動きでなく、快適に動きたいのだ」と述べています。

風呂に入って温まり、からだがリラックスすると、おこなう動作が3つあります。

1.「気持ちいい~」という感嘆詞がでる

2.「ん~~」 と手足を伸ばしたり背伸びをしたりする

3.「ふぅ~」と深く息を吐きながら、首を回したり体を動かしたりする

リラックスした感覚があるとき、からだの治ろうとする働きは高まります。ゆえに、気持ちの良い施術は、心身をリラックスさせて症状の改善を促します。ただし、温めてコリがゆるみ、血液循環が促進されても、からだの“動く”という機能を直接的に改善するものではありません。

運動器疾患は、動作により症状が増悪する

肩こり、腰痛、膝痛など運動器疾患は、「動かすと痛い」「動きが悪い」というように動作に関連して症状が増悪します。そのため、温まり動作が楽になると、次に無意識の反応としてストレッチ、ゆるやかな運動がしたくなるのです。

私が、最初にカイロプラクティックを師事した整形外科医師 鈴木裕視先生は、カイロプラクティックと操体法の共通点を探りながら、臨床のなかで、気持ちがいい快方向を重視して矯正刺激を施しておられました。当治療院の施術も、鈴木先生に習って気持ちいがいい方向への手技(関節操作・矯正)を心掛けています。


橋本敬三(1990)生体の歪みを正す 橋本敬三・論想集.創元社.p.24.

鈴木裕視(1994)試論「操体カイロ」の和痛機序と症例.マニピュレーション症例報告集.エンタプライズ.

施術で受ける運動刺激の方が、自分でやる運動より治療効果が高い!?

感覚反応の抑制について興味深い研究が、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターより報告されています。

感覚反応の抑制とは、たとえば熱いものを手で触ったとき、その手を無意識に振って「熱い」という感覚を和らげる行動のことです。この抑制は、自己の運動中に顕著であることが明らかとなっています。

他人に手のひらをくすぐられると、くすぐったく感じます。ところが、自分で手のひらをくすぐっても、余りくすぐったく感じません。また、自分でくすぐった場合でも、より早く、くすぐろうと皮膚を刺激するほど、くすぐったさが感じなくなります。

報告された研究は、運動中にすべての感覚が一様に抑制されるのではなく、皮膚感覚と筋感覚は全く異なるコントロールを受けているという新たな説を導いています。

くすぐるという行動にとって重要性の高い筋感覚は、自分の身体位置をモニターするために強調されます。その一方で、重要性の低い皮膚感覚は抑制され、くすぐったさが感じなくなるというのです。

治療院での施術に役立つかもしれない情報

「ほんがわ治療院は、どんな施術ですか?」と聞かれたとき、いつも「こんな施術」といって手首を強く振っています。手首を強く振ると痛みが和らぐように、関節をゆるめて可動性を増大させてあげれば、あなたの痛み・違和感は軽減されると思います~と。

ただし、やたらめったら関節を動かせば、組織を損傷させる危険があります。関節の機能改善を促す運動は、固着を整える方向、歪みを整える方向に施されるべきです。また、振幅が短く速度の速い関節操作(矯正)の方が、和痛作用も高くなります。さらに、できるだけ中枢から治療刺激を加える方が、効果は大きいでしょう。ゆえに、症状に関連する脊柱高位に、操作・矯正刺激を施しているのです。

じゃ~、患者さん自身で関節を動かせばいいじゃない?

いえいえ! 自分でやる運動は感覚反応が抑制されるので、他人にやってもらう運動の方が刺激効果が高いですよ。そういうわけで、どうぞ治療院に施術を受けに来てください~~といえるか検討中です。

facebook(2017-02-09)より転写・加筆


自分と他人の行動を識別する新たな神経機構を解明-運動中の『感覚ゲーティング』がになう新たな機能-.国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター.http://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=333,(参照日2018年7月3日)

Joachim Confais・Geehee Kim・Saeka Tomatsu・Tomohiko Takei and Kazuhiko Seki(2017)Nerve-specific input modulation to spinal neurons during a motor task in the monkey.Journal of Neuroscience. 37(10); p.2612-2626. https://www.dropbox.com/s/eqs110zzrgyx7e2/Joachim%202612.full.pdf?dl=0, (参照日2019年9月20日)

関節機能の改善は、血液循環も促しながら慢性化した痛みを癒します

痛みの原因として、「脊柱の歪みによって神経が圧迫されているから」という説明があります。加齢に伴う骨性の変形をみるとき、「神経圧迫による痛み」は腑に落ちるかもしれません。しかし、単純な神経圧迫というメカニズムだけでは、ズキ~ンとした坐骨神経痛のような電撃痛はおこりません。

神経が圧迫されたときの症状は、痺れと麻痺

末梢神経は、物理的な圧迫のみによって、痛みを生じることはないとされています。そして、末梢神経が単純に圧迫されておきる症状は、「シビレ」と「マヒ」です。たとえば、正座をしていると膝裏あたりから神経が強く圧迫されます。その結果、足先がシビレたり、力が入らなくなったりします。しかし、神経痛のようなズキ~ンとした電撃痛を感じることはありません。つまり、「神経が圧迫されているから痛みがでる」という説明は正確ではありません。

圧迫刺激による神経根の慢性化した炎症が痛みをつくる

たとえば、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛は、神経根への圧迫刺激を起因として発症します。椎間板内の髄核が飛び出していなくても、繊維輪が障害されると腫れます。さらに、周囲に炎症がつくられると浮腫が生じて、神経根および周辺組織を圧迫しながら血液循環を悪くします。血液の流れが阻害されるなか、やがて神経根には慢性化した炎症がつくられます。

神経根炎になると、神経は過敏な状態になり、少しの刺激にも反応して激痛を走らせます。そして、少し動いたり、クシャミをしたりするだけで坐骨神経が刺激され、殿部から下肢の神経経路に沿って痛みが生じるのです。

関節機能の改善は、血液循環を促すことにも役立つ

しばしば、「脊柱への矯正刺激(Adjustment)により神経圧迫を取り除く」という説明を聞くことがあります。しかし、「ポキッ」と関節を操作することで、飛び出しているヘルニアが引っ込んだり、歪みのみられる背骨の配列が整復されたりすることはないでしょう。

手技療法による操作・矯正刺激は、歪みを目印として関節の過剰な緊張をゆるめ、機能(動き・可動性)の改善を促します。関節の機能が回復すると、増大した動きによって関節が刺激され、感覚神経の働きが抑制されて痛みが緩和するだけでなく、血液循環も促進されます。結果として浮腫も軽減され、神経根の炎症が和らぎ、さらなる痛みの軽減がはかられるのです。

 171-0022 東京都豊島区南池袋 2-13-10 キャッスル小林3階

 03-3988-3467 完全予約制

 htiryouin@gmail.com

 月,火 - 金,土 10:00~12:00,15:00~18:00

水,木,日,祝日 お休み

脊柱矯正・鍼療法 ほんがわ治療院