注)雲の上の権力に反抗

鍼灸マッサージの役割:共生からの考察

見ざる聞かざる言わざる

整骨院を営む柔道整復師の知人に、「もしも、おまえの子供が骨折したら、自分のところで、応急手当の整復をするのかぃ?」と尋ねたことがあります。もちろん不快な顔をされ、明確な答えはありませんでした。あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復には、聞いてはいけない闇が、いくつもの暗黙の掟として存在しているのでしょうか。

カイロプラクティックを敬愛する私には、柔道整復師の友人が多くいます。そのなかで技能に優れる人ほど、「なんでも捻挫」の保険診療に嫌気がさし、自費治療を主軸としているように見受けられます。保険請求が厳しさを増すなか、柔道整復師も生き残るために懸命です。

一方で、あはき法第19条には、文部科学大臣は「視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難となる恐れがある場合は、あん摩マッサージ指圧師の養成施設を認可しないことができる」とあります(厚生法規研究会,1953)。とくに視覚障害者が主とする団体では、あん摩マッサージ指圧師免許への既得権を擁護する運動に力を入れるとともに、これを侵そうとする策略を過敏に警戒しています。

名古屋ホード学園、東京モード学園はあん摩マッサージ指圧科新設を目論んでおり、仮に「不認定」とされた場合は、法第19条を「憲法違反の法律」として最高裁に訴える構とされている(時任,2007)。

上記のような訴えは、現実から目をそむけた知識人の“被害妄想”かもしれません。「障害者差別だ!職域保護だ!人権を守れ!」という反対活動を押しのけてマッサージ科を新設するよりも、柔道整復科をつくる方が簡単であり、利益も見込めるからです。大学・専門学校側にとって「鍼灸師免許を取得して、次は柔道整復師免許を」と編入を促すことができれば、少子化によって受験生が減少するなか得策です。

柔道整復師免許を取得して機能訓練と称する自費マッサージをおこなう鍼灸+柔道整復師が、鍼灸+マッサージ師に取って代わる時代が、すぐ目の前に迫っているのです。そんなことは、巷にあふれる治療院の看板をみて歩けば、とうの昔に気が付くことです。あん摩マッサージ指圧師免許にみる視覚障害者の職域保護施策という晴眼者の参入制限(逆差別)に固執していることが、視覚障害者の将来を見据えたものなのか疑いを禁じ得ません。

鍼灸マッサージ師は「柔道整復師の仁に学べ」という自虐的な私見の背景には、池袋という激戦区で治療院を営む者として、あん摩マッサージ指圧師の凋落への危機感があります。仁を学び慈悲を鎹として、鍼灸マッサージを業とする視覚障害者と晴眼者が、一致協力しながら介護予防に貢献していきましょう。その呼びかけは、介護予防の時流と釈迦の威光を借りて、雲の上の権力に反抗・意趣返しを試みた愚説ともいえます。


厚生法規研究会(1953)厚生法規総覧13,あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律,第19条.中央法規出版,p.5026.

時任基清(2007)鍼灸マッサージ業の現状と課題,文京はり研究会講演レジュメ.文教鍼研究会.http://www.wind.ne.jp/khari/kenkyuu/07-12-16tokitou.html,(参照日2016年4月28日).

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