音楽家の局所性ジストニアに対する当治療院の施術について


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音楽家のジストニアについて、その7


2017-02-09


音楽家の局所性ジストニアに対する当治療院の施術について、その概要を簡単にご説明いたします。

〈施術の目的〉

ジストニアは、脳内だけでなく末梢神経にいたる広範な感覚系の機能異常が発症に関与しています。そこで、演奏の細やかな動作を制御している神経伝達回路に、末梢から治療刺激を入力することで、ジストニアを発振させるルーティーンを崩しながら、脳内機序にも望まし影響を与えることを主な目的として施術をおこないます。

〈施術の方針〉

カイロプラクティックによる治療刺激が、脳幹や延髄に最も影響を及ぼす部位とされる上部頸椎に、歪みを整える方向から矯正を施します。さらに、ジストニアの症状が現れる手指や前腕、その領域を支配する神経の走行経路にみられる過緊張を緩和したり、可動性の改善を促したりするように、筋肉や関節に操作・矯正を加えます。また、矯正刺激への反応をみながら、関節操作・矯正の補助療法として鍼治療をおこないます。

ジストニアの場合、施術による物理的な刺激は、大きな刺激を一度に加えるより小さな刺激を積み重ねていく方が、効果が見込まれるように思われます。そこで、施術時間や内容は、各人に合わせて適宜変えております。

〈施術の進め方〉

施術の第一は、手指や前腕にみられる過緊張が十分に緩和するまで、関連する筋肉や関節に柔軟操作を続けます。また、症状の責任高位として、手指や前腕を支配する神経の機能が障害されやすい部位である胸郭出口や頸椎−胸椎に、矯正刺激を施します。上部頸椎への治療刺激は、持続的な押圧もしくは置鍼によって加えます。

施術の第二として、手指や前腕、上肢帯の過緊張が軽減した頃より、上部頸椎への治療刺激を積極的に施してゆきます。とくに、脊柱両側の皮膚温差の波形にみられるパターンに変化が現れること、左右差がなくなることを改善の指標として、上部頸椎への操作・矯正を継続します。手指や前腕だけでなく、肩甲骨の可動性にも注目して、持続的な押圧もしくは鍼による治療刺激を加えることがあります。

〈施術の期間〉

最初の4回は、週2回の間隔で施術を受けてください。治療刺激への反応をみながら、週1回のペースで施術を継続ください。2ヶ月を目安として施術の効果を評価します。

〈再構築の近道〉

ジストニアに罹患した演奏家による研究論文では、「再構築」が述べられています。「長年にわたる『身体的な学習』が過ぎて、頭・手・耳の連携に狂いが生じている事が問題の発端であり、加えて不随意運動を抑えるための余分な動作をも身体は学習してしまっている。いわば、フォーカル・ジストニアを直接の原因とするものと、リカバーを繰り返した事による『癖』とが絡み合った『複雑系』の問題であるが故に、身体の連携を見直さない限り、症状の改善は見込めない」。よって、「脳と身体の連携、頭と手指とのやり取りを『作り直す』と考えることが、非常な回り道のように見えて、実はいちばんの近道である」というのです(中野,2015)。

その再構築を促すお手伝いとして、患者さんと施術者が一緒になって効果のある施術方法を模索してゆくことができれば、まことに嬉しく存じます。

・・説明の補足・・
〈局所性ジストニアについて〉

音楽家にみられる局所性ジストニアは、「主に演奏時にのみ、ピアニストや弦楽器奏者の手指の筋、あるいは管楽器奏者の唇周りの筋を不随意に収縮させる難治性の疾患」のことです(古屋,2011)。

楽器を演奏するという同一の動作を繰り返すなかで、脳内で演奏行動を制御している神経伝達回路に促通経路が形成され、これか演奏という動作によって発振してしまう結果、ジストニアという筋緊張が生じることが明らかにされています。促通とは、神経系に複数の刺激を加えると、その効果が単独の刺激の効果の和よりも大きくなる現象です。

〈施術の目的について〉

ジストニアには「大脳基底核の機能異常、皮質運動野・基底核・視床ループの過興奮、広範な感覚系の機能異常などが存在する」といわれます(平・堀,2004)。

ただし、「ジストニアは一般に対症的に対処した場合でも、脳内機序が改善することがあり、末梢を含めた神経ループか発症に関与している」ことが示唆されています(平,2011)。そこに、末梢から治療刺激を施すことの意義があるものと考えます。

〈施術の方法について〉

「カイロプラクティックの有効性、さらには最も難しい症状を取り除く方法を次々と開発していった」「B.J.パーマーは1930年に脳幹・延髄に影響を及ぼす場所は、上部頸椎であり、そこには人間と神との偉大なるスイッチがある」と述べています(塩川,1999,p.30,36)。

カイロプラクティックによる上部頸椎への矯正だけでは、脳が取り込んだ間違った反応を正常化したり、ジストニアを改善したりすることは難しいかもしれません。ただし、末梢に現れた問題の“要”として、脳幹・延髄に近い部位から治療刺激を施し、良い効果を及ぼす場所と理解しています。


中野研也(2015)演奏家のジストニアの実践的対処法に関する考察:演奏者の視点から.仁愛大学研究紀要 人間生活部篇,7:p.117-125.

塩川満章(1999)臨床カイロプラクティック 哲学・科学・芸術.ルネッサンス・ジャパン.

平孝臣(2011)ジストニアの治療の最前線.脳と発達,44(3):p.183-188.

平孝臣・堀智勝(2004)ジストニアに対する脳神経外科治療.脳神経外科ジャーナル,13(5):p. 353-362.



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