椎間関節性腰痛

原因 症状の理解


Treatment description

椎間関節の構造

脊柱は、椎骨と椎間板が交互に積み重なった構造をしています。そして、脊柱は2つの異なる役割を同時に担っています。

・ 上半身の体重を支えながら、体幹に自由な動きを与える

・ 脊髄を通す管(脊柱管)や神経根を通す穴(椎間孔)をつくる

椎骨は、脊柱の異なる役割を担うために、2つの分節により構成されています。

・ 椎体 … 前方で体重負荷を支えている

・ 椎弓 … 後方で関節(椎間関節)をつくり、神経を通す穴や管を構成する

椎間関節性腰痛は、椎間関節に主な原因がある腰痛のことです。急性の腰痛(ギックリ腰)や慢性化した腰痛の原因として重視されます。

急性の腰痛(ギックリ腰)

急性症は椎間関節捻挫とも呼ばれ、ギックリ腰の代表的な病態です。重量物の挙上や急激な体位の変換により、椎間関節が過伸展され、捻挫をおこすことがあります。

椎間関節は、外部を関節包が覆い、関節包の内側には滑膜を有しています。関節を支持する関節包や靭帯には、たくさんの知覚神経が分布しています。

腰部の運動は、75%が第5腰椎‐第1仙椎間で、20%が第4腰椎‐第5腰椎間で、残りの5%が第1腰椎‐第4腰椎間でおこなわれます。

下部腰椎では、上半身の体重を支えながら大きな動きを担っています。そのため、日常的に大きな負荷のかかるL5‐S1椎間関節、L4‐L 5椎間関節は、ギックリ腰としての椎間関節性腰痛が好発します。

慢性化した腰痛

椎間関節の加齢による変性を基盤として、慢性化した腰痛をつくります。日常生活の負荷が大きいL4‐L5、L5‐S1椎間関節は、次第に変性がおこりやすくなります。

椎間関節の変化は、年齢による生理的な現象であり、50歳以降になれば大半に認められる所見といわれます。椎間関節に退行性変性がみられても、必ずしも腰痛が発症するとは限りません。慢性化した椎間関節性腰痛をつくる経過は、次の通りです。

→ 加齢による椎間関節の変性は、椎間板の変化から始まります。椎間板は、年齢とともに水分量が減少することで、厚みが減ったり椎骨の辺縁部からせり出したりします。

→ 椎間板の厚みが減ることで、関節面には機械的なストレスが加わり、関節軟骨の表層が摩耗します。さらに、椎間板が椎骨の辺縁部からせり出した部分も刺激を受けて、骨の増殖による骨棘が生じます。

→ 関節軟骨の摩耗、骨棘の形成などで、関節の適合性が悪くなり、腰椎が不安定になります。関節包や靭帯は、不安定な腰椎を支えようと過剰な緊張を強いられます。緊張下のなかで炎症がつくられ、関節包は肥厚して弾力性が減少していきます。

→ 椎間関節の関節包には、腰神経後枝内側枝が豊富に分布しています。椎間関節に変性や炎症が生じると、知覚神経を刺激して腰痛を発生させます。また、弱化した椎間関節は、障害されやすくなってギックリ腰を繰り返します。

→ 思い当たる原因となる動作もないのに、ギックリ腰になることがあります。それは発症する前より、すでに関節症性変化が存在していたためと考えられます。

→ 腰椎関節面の不安定化は、椎間板や筋肉にも負担をかけます。そして、長期にわたり緊張下にあると血液循環を阻害して、痛み刺激に過敏な状態をつくります。この痛みがさらなる緊張をもたらしながら、関節症性変化は助長されていきます。

→ 徐々に慢性化する椎間関節性腰痛は、炎症性の激しい痛みを感じることは少ないとされます。その一方、経過が長くなると、椎間関節に由来する関連痛として、大腿神経が刺激を受けて、殿部から股関節外側、膝関節へと放散される鈍い痛みがおこります。

→ また、椎間関節の機能が低下することで、協調して動いている骨盤-股関節-膝関節の可動性も悪くなります。そして、相互に悪影響を及ぼしながら、椎間関節性腰痛を増悪していきます。

→ 関節症性変化が進行すると、不安定な腰椎が前方にすべり出ることがあります。さらに、椎間孔が狭くなったり線維化や捻じれが生じたりして、神経根が圧迫刺激を受けることがあります。腰椎全体の歪み(アラインメント異常)が重なると脊柱管が狭くなり、馬尾神経が絞扼されるかもしれません。


症状の特徴

急性でも慢性化しても椎間関節性腰痛は、同じ高位の関節に痛みが生じます。ただし、痛みの性質は異なります。

急性の症状(ギックリ腰)

組織の障害による炎症を引き金として、急性の腰痛(ギックリ腰)を発症します。また、関節包や勒帯が関節裂隙にくい込んで激痛を発することもあります。

多くの場合、障害されたL4‐L5、L5‐S1椎間関節に強い痛みを示します。しかし、坐骨神経根を刺激することは稀なので、膝裏から足先にまで痛みが放散することは少ないとされます。ただし、椎間関節の関連として大腿外側から膝に放散する痛みが現れることがあります。

また、関節に負荷のかかる動作で痛みが増悪します。そのため無意識にも、痛みのある側の関節を少し広げて、障害された椎間関節に負荷がかからないような姿勢をとるかもしれません。

慢性化した症状

慢性化した椎間関節性腰痛は、急性症状のような炎症性の激しい腰痛を感じることはありません。痛みによる過剰な緊張が持続することで、次のような症状が現れます。

・ 一日中、重苦しい、鈍い痛みがつきまとう

・ 体がかたく、体幹の前屈運動で指と床の距離が大きい

・ 腰にこわばりやきしり音を感じる

・ 朝、起床時の動きに痛みがある

・ 動作を始めるとき腰痛がある

・ からだの動きで痛みが生じるが、動かしているうちに痛みが軽減する

・ 腰部の関節をゆるめるような体操が気持ちいい

・ 同じ姿勢を長時間続けていると、痛みが増悪する

・ 腰殿部から下肢への関連痛がある

経過が長くなると、関連痛として大腿神経が刺激を受けて、殿部から股関節外側、大腿前側、膝関節へと放散される鈍い痛みが生じます。

大腿神経は、椎間関節が障害を受けやすい下部腰椎の近くを走行します。椎間関節につくられた炎症によって大腿神経が刺激されると、支配領域である殿部から大腿前側に関連痛を放散します。

関連痛は、疼痛部位の知覚障害や圧痛だけでなく、筋肉を過剰に緊張させます。こうして、多くの発痛点を広範囲に形成していきます。


複合的な症状へと増悪

椎間関節性腰痛が慢性化するなかで、障害を受ける下部腰椎と協調して働いている骨盤‐股関節の可動性も悪くなります。そして、相互に悪影響を及ぼしながら、機能が障害される範囲を広げていきます。

さらに、椎間関節包の肥厚、関節辺縁部の骨棘により、黄色靭帯が前方に圧迫されると、椎間孔を狭めて神経根症状を発症させます。

このような変化は、椎間関節性腰痛というより、変形性腰椎症、脊椎すべり症、脊柱管狭窄症など、他の因子も複合的に加わった症状といえます。詳細は各症状を参照ください。




脊柱矯正・鍼療法

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