椎間関節性腰痛

施術の要点


Treatment description

椎間関節性腰痛とは

椎間関節性腰痛は、椎間関節に主な原因がある腰痛のことです。急性の腰痛(ギックリ腰)や慢性化した腰痛の原因として重視されます。

急性症は、重量物の挙上や急激な体位の変換により、椎間関節が過伸展され、捻挫をおこして発症します。そして、椎間関節の無理が蓄積したり、加齢による弱化が加わったりして、慢性化した痛みと機能障害(動きの悪さ)をつくります。


施術の基本方針

急性でも慢性化しても椎間関節性腰痛は、同じ高位の関節に痛みが生じます。ただし、痛みの性質は異なります。そこで、施術は「急性の症状」「慢性化した症状」に分けて適応しています。

1.急性の症状には

急性の椎間関節性腰痛は、いわゆる関節の捻挫によるギックリ腰として発症します。受傷直後の炎症による激しい痛みがあるときは、関節への直接的なマニピュレーション・矯正刺激は不適応と考えます。

そこで施術は、痛みをつくる神経(脊髄神経後枝)の興奮を抑制する皮膚刺激として、円皮鍼やキネシオテープを用います(経皮物理的刺激療法,鈴木)。

受傷から3日ぐらい経過した後を目安に、炎症性の痛みが落ち着き、椎間関節の機能障害が痛みの主な要因となったことを見計らいます。その頃より、緊張の緩和と可動性の回復を促すように、徐々にマニピュレーションを加えていきます。

2.慢性化した症状には

椎間関節性腰痛を慢性化させている因子には、「可逆的な因子」「不可逆的な因子」があります。

・ 可逆的な因子 … 神経根炎、関節機能の低下、過緊張、疲労、循環障害、浮腫など

・ 不可逆的な因子 … 椎間板の変性、椎間関節の変性、椎体の骨棘形成など

障害を受けた椎間関節がつくる持続した過緊張が、血液循環を悪くして炎症を長引かせることで、痛みを慢性化させる直接的な原因となっています。

椎間関節の可動性が回復して動きが増大することで、血液循環が促進され、炎症の治癒と関節組織の修復が促されます。また、腰部が大きく動くことで運動神経が刺激され、知覚神経の働きを抑制して痛みが緩和します。

施術は、可逆的な因子を改善することを目的としておこないます。とくに、慢性化した椎間関節性腰痛の施術ポイントとして、以下の関節面を中心にマニピュレーション・矯正刺激を施します。

1)椎間関節面に沿った操作

2)仙腸関節面に沿った操作


矯正刺激ポイント

1)椎間関節面に沿った操作

ほとんどの椎間関節性腰痛は、日常的に運動負荷の大きなL5‐S1椎間関節、L4‐L 5椎間関節で好発します。さらに、L5‐S1椎間関節がつくる角度(腰仙角)は、腰椎の反り返りに影響を与えます。腰椎の前弯が強くなると、椎間関節への負担が大きくなります。

L5-S1,L4-L5(好発高位)に対して、関節機能の回復をはかるように、関節面に沿ってマニピュレーション・矯正刺激を施します。

椎間関節の可動性が増すことで、運動神経がたくさん刺激されるようになります。すると感覚神経の働きが抑制され、痛みが軽減します。また、関節が動くことで血液循環も増大して、障害された関節組織の治癒も促されます。

また、腰椎棘突起の周囲に細かな運動操作を施すことで、痛みに過敏となっていた脊髄神経後枝が刺激され、腰殿部の痛みを緩和してくれます。

2)仙腸関節面に沿った操作

椎間関節性腰痛は、上殿部‐大腿外側‐膝前面に関連痛が広がります。また、片側の殿部(腸骨稜の上縁、上後腸骨棘の外縁、大殿筋の上縁)には圧痛が認められます。

仙腸関節は、ほとんど可動性がありません。しかし、日常生活の無理が現れるツボ(反応点)が数多く存在します。

逆三角形をした仙骨は、石橋に例えて「要石・keystone」の役割を果たしています。アーチ構造に見立てて、中央の仙骨が、上半身の体重を左右の橋脚(腸骨‐股関節‐下肢)へと分配しています。

そこで、仙腸関節面に沿ってマニピュレーションをおこない、歪みを整える方向に矯正刺激を施します。仙腸関節周囲のツボを刺激して、矯正刺激を繰り返し加えることで、からだが正常な動きと正しい姿勢を再学習するよう促します。


施術の注意として

慢性化した椎間関節性腰痛は、目安として4回の施術に分けて椎間関節をゆるめる操作をおこないます。その効果をみながら、積極的にマニピュレーション・矯正刺激を施します。

一回の施術で椎間関節を十分にゆるめてしまうと、腰椎の不安定性が増して、逆に痛みを増大させる危険があります。長い経過を経た慢性化した症状を癒すには、相応の時間と施術回数を必要とします。.




脊柱矯正・鍼療法

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