腰椎椎間板ヘルニア(椎間板症)・施術方針

椎間板ヘルニアとは

椎間板は、椎骨と椎骨の間にあって、脊柱は自由に可動したり衝撃を吸収したりする役割を担っています。そのことで椎間板には、常に大きな負荷がかかっています。

日常的に負担の大きい椎間板は、障害を受けやすくなります。重い物を持つような動作により、椎間板の繊維輪が損傷されることがあります。障害を受けた繊維輪の亀裂から、髄核中の物質がしみ出てきた状態が椎間板ヘルニアです。

椎間板が障害されることで、腰痛を発生させます。また、椎間板ヘルニアが坐骨神経根を刺激すると、下肢に痛みや痺れを放散するようになります。詳細は「腰椎椎間板ヘルニア・原因症状」を参照ください。


施術の方針

受傷後から3日ぐらい経過した後から開始します。また、馬尾神経症状や重度の神経根症状を除けば、椎間板ヘルニアの多くは、保存療法によって症状の緩解が得られるとされています。

施術は、ヘルニアの発生により低下した椎間板の機能回復を促すことを目的に、以下を中心としておこないます。

1.「好発高位であるL4‐L5‐S1」を中心にマニピュレーション・矯正刺激を施す

2.坐骨神経の経路に沿って緊張をゆるめるように「下肢からの運動操作」を加える

受傷直後の炎症による激しい痛みがあるときは、腰部への直接的なマニピュレーション操作・矯正は不適応です。その間は、痛みをつくる神経(脊髄神経後枝)の興奮を抑制するように、腰椎棘突起際のツボ(夾脊穴)への皮膚刺激として円皮鍼を用います。また、腰部の筋緊張を和らげるために、脊柱起立筋の内側に刺鍼します。


1.L4-L5,L5-S1(好発高位)

腰椎椎間板ヘルニアの好発高位であるL4‐L5‐S1を標的にします。腰椎側方変位の凸側から、椎間関節面に沿って髄核を中心に戻す方向へ、腰椎を椎間板の上に乗せて閉じるように矯正刺激を施します。その効果として、

1)炎症を和らげて痛みを軽減する

2)椎間板の腫れ、髄核物質の縮小を促す

この手技は「腫れた椎間板やとび出したヘルニアを引っ込める」ものではありません。腰椎の歪みといった構造的な変化を目印として、正しい方向に運動操作を加えることで、椎間板の機能回復を促すものです。

弱化した椎間板には、瞬間的な矯正刺激を一撃与えるよりも、おだやかにモビライゼーション(関節操作)をおこないながら機能回復をはかっていく方が危険はありません。椎間板を閉じる方向への矯正は、からだに正しい姿勢を再入力して、モビライゼーションをおこないやすくするための治療刺激となります。

施術が適応となる腰椎椎間板ヘルニアにおいて、痛みの直接的な原因は、神経根につくられた炎症性変化です。ヘルニアによる圧迫刺激は、その炎症を引き起こしている誘因です。椎間板の機能が回復して動きが増大することで、過剰な緊張度が和らぎます。その結果、痛みが軽減したり血液循環が促されたりします。


2.下肢からの運動操作

殿部、膝裏、ふくらはぎにかけて、坐骨神経の経路に過剰な緊張があれば、抑制するように持続的な押圧を施します。下肢から緊張をゆるめることで、腰部にかかる負担が軽減されます。


病期別の詳細

腰椎椎間板ヘルニアを4つの病期に分けて、施術方針を詳しく説明します。

1.受傷直後

2.受傷より3~7日が経過した頃

3.急性から慢性症状に移行した頃

4.症状が慢性化した頃


1.受傷直後

急性期の炎症による激しい痛みがあるときは、腰部への直接的なマニピュレーション操作・矯正は不適応と考えます。その間は、皮膚刺激による痛みの抑制(経皮物理的刺激療法,鈴木)として、円皮鍼を用います。痛みをつくる神経(脊髄神経後枝)の興奮を抑制するように、腰椎棘突起の際に刺鍼します。また、腰部の筋緊張を緩和するように、脊柱起立筋の内側に刺鍼します。


2.受傷より3~7日が経過した頃

炎症による激しい痛みが、寝返り動作がおこなえる程度に軽減した頃を見計らい、痛みの緩和と拘縮の予防を目的として、坐骨神経の緊張度をゆるめる操作をおこないます。殿部から膝裏にかけて、持続的な押圧を施します。また、神経根部の圧刺激を軽減するように、ストレッチや牽引をおこないます。過剰な緊張があれば、抑制的に押圧を加えます。ただし、施術時間を通常よりも短く、刺激部位は少なく、弱刺激でおこないます。


3.急性から慢性症状に移行した頃

症状が慢性期に移行したころから、低下した椎間板の機能回復を促すことを目的として、マニピュレーション・矯正刺激を施します。椎間板の固着をやわらげ、ヘルニアの水分量の減少を促すようにポンピング操作を加えます。また、椎間板の歪みを整える方向に、軽く矯正刺激を加えます。施術により自然治癒力が働きやすい状態を整えても、治癒力が働くためには、ある程度の加療を必要とします。


4.症状が慢性化した頃

変性が伴うような慢性化した椎間板ヘルニアには、腰部全体の機能回復を促すことを目的として、積極的にマニピュレーション・矯正刺激を施します。坐骨神経痛は、圧迫刺激に神経根炎が加わって発症したものです。椎間板の機能が回復して、腰部の動きが増大すると血液循環もよくなり、炎症が緩和したり障害された組織の修復も促されたりします。また、腰部の動きが運動神経を刺激することで、知覚神経の働きが抑制されて痛みが緩和します。こうして過剰な緊張度が和らぎ、痛みが緩和していきます。


効果の予想

経過の長い慢性化した椎間板ヘルニアは、椎間板の変性に加えて、椎間関節や筋肉にも問題を抱えた複合した病態を呈しているものです。けれども、このような病態があっても、マニピュレーション操作・矯正を継続されることで、神経根部の炎症を和らげたり低下した腰部の機能回復を促したりすることが期待できます。

ただし、時間の経過とともに組織の変性や瘢痕が大きくなると、ヘルニアによる圧迫から解放されても、慢性化した症状が残ることがあります。

痛みが和らいでも“半治り”です。1~2週間は継続して施術を受けていただきます。また、障害された椎間板には、治癒力が働くための時間を必要とします。施術を受けられても、当分は無理をひかえた生活を心掛けて、安静・養生を厳守していただきたく願います。

脊柱矯正・鍼療法 ほんがわ治療院
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