五十肩・施術方針

五十肩とは

五十肩とは、原因は定かでないが、おそらく加齢による肩関節の変性により弱化した組織が、何らかの負荷により障害されて痛みが生じて、可動域が制限された症状のことです。

最初は、肩関節の周辺に鈍い痛みがおこり、関節が拘縮して腕の動きが制限されます。時間の経過とともに、肩関節が拘縮して動かすと激痛が走るようになります。そして、髪をとかす、歯磨きをする、洗濯物を干す、電車のつり革につかまる、洋服を着る、寝返りを打つなどの動作が不自由になります。

この頃では、四十肩ともいわれます。70歳以降にも、肩に疼痛と運動障害は見受けられます。ただし、明らかな原因がないという条件に当てはまらないかもしれません。

40〜50歳台の発症は、肩関節の柔軟性は残っていても、組織の弱化は始まっていることから組織の障害を受けやすいことを示唆しているのかもしれません。詳細は「五十肩・原因症状」を参照ください。


施術の方針

施術は、肩関節の過緊張と上肢帯の協調運動(肩甲上腕リズム)に注目しながら、疼痛の軽減と拘縮の改善を目的として、3つの病期に合わせておこないます。


急性期(疼痛期)

疼痛の軽減と拘縮の予防を目的に、可動域制限の少ない早期から施術をおこないます。炎症を和らげるために血液循環を促したり、拘縮を予防するために持続的な押圧操作を施したりします。

炎症が強い時期は、治療刺激が過多になると、逆に疼痛を増悪させます。そこで、痛みの誘発をみないように、防御性の筋収縮をゆるめます。


慢性期(拘縮期)

肩関節の拘縮の改善と可動域の増大を目指して、マニピュレーションを試みます。肩関節の拘縮をゆるめながら、徐々に肩関節の運動操作をおこないます。

肩関節へ軽度の押圧を繰り返して、関節内の癒着を剥離していきます。強い操作は、肩の筋肉の過緊張を惹起させる恐れがあります。継続して施術をおこないながら、徐々に強度を増していきます。


回復期

肩関節の可動域の増大、関節機能の回復を目指して、積極的なマニピュレーションを施します。さらに、肩関節と協調して働いている頸部や肩甲間部、反対側の背腰部にみられる機能障害の改善も促します。


施術ポイント

肩関節の機能が回復して可動域が大きくなるほど、五十肩の痛みは軽減されます。肩関節の機能が回復するまでの期間が短縮されるように、マニピュレーション(モビライゼーション)・矯正刺激を施します。

施術は、五十肩の責任高位に矯正刺激を加えながら、肩関節のマニピュレーションをおこないやすくします。マニピュレーションは、肩関節だけでなく、協調して働いている肩甲骨‐鎖骨からも加えます。

1.「C5‐T2」に矯正刺激を施し、肩関節の過緊張をやわらげる

2.肩関節だけでなく「上肢帯の協調運動」の回復を促す


1.C5‐T2(責任高位)

頸部‐背部肩を支配する神経は、下部頸椎から上部胸椎(C5‐T2)より分布しています。この領域に歪みや固着があると、過剰な刺激が肩を支配する神経の働きを乱します。

肩を支配する神経の働きが乱れると、常に筋肉の緊張度を高めます。筋肉が緊張してコリが形成されると、血液循環が阻害されます。こうして自然治癒力が弱くなった結果として、症状が癒され難くなります。

そこで、五十肩の責任高位として、C5‐T2領域の固着や歪みを整える方向に矯正刺激を施しながら、肩の緊張緩和を促して自然治癒力を高めていきます。

僧帽筋の過緊張が広背筋、大円筋、大胸筋と広がりながら、肩関節の拘縮(凍結肩)を進行させることから、とくにC7‐T2を重視すべきとの報告があります。


2.上肢帯の協調運動(肩甲上腕リズム)

肩関節のマニピュレーションとして、肩峰下腔や上腕二頭筋長頭腱を中心に、障害を受けた軟部組織の緊張をゆるめます。肩関節へ軽度の圧縮操作を繰り返しながら、関節内の癒着を剥離していきます。腋窩部からの押圧にリズミカル運動操作を加えながら、腕を拳上していきます。

また、肩甲骨周囲の緊張をゆるめて、肩甲骨‐肩関節‐鎖骨の協調した機能の回復を促します。胸鎖関節、肩鎖関節、肩関節(肩甲上腕関節)、肩甲胸郭結合に対して、各関節の歪みや固着を整える方向に矯正刺激を施します。そして、肩甲骨を胸郭からはすように、可動性をつけるマニピュレーションをおこないます。

腕上げるためには、反対側の脊柱筋群も収縮しなければなりません。さらに、肩関節に痛みがあると、肩をすくめる姿勢となります。姿勢がつくる負担も含めて、全体から協調動作の向上に働きかけます。


施術の開始時期

当治療院のマニピュレーションは、肩関節の機能回復を主な目的としています。肩関節の機能が回復することにより、結果として痛みは軽減します。しかし、急性期(疼痛期)の五十肩は注意が必要になります。この炎症が強い病期は、手技による鎮痛効果は限定的でしょう。

当治療院の施術方法は、慢性期(拘縮期)から適しています。ただし、急性期(疼痛期)から拘縮を予防することで、回復までの期間が短くなると期待されます。


関節操作の適応期

急性期(疼痛期)は、炎症による痛みが増大していく時期です。そのため、施術をおこなっていても、容易に痛みは軽減していかないかもしれません。けれども、早い段階から拘縮を予防する施術をおこなうことで、慢性期(拘縮期)に移行した後の鎮痛効果が得やすくなります。結果として、五十肩が早く癒されることが期待できます。

痛みの強い時期は、積極的に関節操作・矯正を施すことは出来ません。そのため、当治療院の施術方法は、慢性期(拘縮期)から回復期にかけておこなう、肩関節の機能障害の改善に、より適しているものと考えます。


回復期におこなう施術

五十肩は、特別な治療をしなくても「大多数が自然に回復する」といわれます。けれども、回復までには1年以上を要することもあります。

一般にいわれる回復とは、痛くて腕が上がらないという状態が、日常生活に影響がない程度に回復することかもしれません。

五十肩は、日常生活に影響がない程度に回復したといっても、長期間の痛みや可動域制限により、肩関節の可動域が狭くなる、動きがギシギシするといった機能障害が残っている人が少なくありません。

肩関節や肩甲骨の動きが悪い状態でいると、頑固な肩こりをつくる要因となります。回復期にこそ、積極的な施術と運動療法を継続することが必要になります。


効果の予測

五十肩への施術は、自然に治癒するよりも早く、肩関節の機能障害が改善され、痛みが軽減するようにおこなわれます。五十肩は、長期的にみれば症状は改善し、日常生活の動作にも制限を残さず治癒するケースが一般的だといわれます。

五十肩が、自然に治癒するまでには6カ月~1年、場合によっては2年ほどかかるといわれます。ただし、次のような慢性化した症状の場合、経過が長くなることで、肩関節の機能障害が進行しており、根気よく継続した加療が必要になります。

1.肩関節に変性を伴う場合

2.強い肩こりを伴う場合


1.肩関節に変性を伴う場合

70歳代で五十肩の症状を訴える方がいます。その場合、加齢に伴う組織の変性が、肩関節および周辺組織にあるものと予想できます。このような多様な症状を含む五十肩は、過度な治療刺激は厳禁です。

日常生活に不自由ない程度に症状が軽減するには、根気よく治療刺激を加えていかなければなりません。それでも肩関節の運動に、多少の機能障害と違和感が残るかもしれません。


2.強い肩こりを伴う場合

五十肩の人は、いわゆる肩こりとして、以前より肩関節や肩甲骨の動きが悪かったのかもしれません。また、五十肩を患う経過が長くなるほど、肩関節の拘縮だけでなく、頸部や背部にまで症状が波及するものです。

五十肩への施術として、肩関節だけでなく、協調して働いている部位にもマニピュレーションを施します。この施術方法は、肩甲間部を中心とする肩こりへの施術と同様なものといえます。肩の運動痛が軽減した後は、肩こりへの施術をお勧めします。

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