頸椎症(変形性頸椎症) ・施術方針

頸椎症とは

頸椎症とは、頸椎に痛みなどの原因がある病気のことです。年齢的な骨性の変化がみられることから、変形性頸椎症ともいわれます。しかし、頸椎の加齢による変化は、誰にでもおこる生理的な現象です。頸椎に骨性の変形が認められても、それ自体は病気ではありません。

頸椎症の症状は、障害を受ける神経により頸椎症状、神経根症状、脊髄症状に分けて特徴づけることができます。詳細は「頸椎症(変形性頸椎症)原因症状」を参照ください。


施術の適応・不適応

加齢による骨性の変化が予想されても、痛みの多くは、保存療法によって軽減されます。ただし、骨性の変化を考慮して、施術の適応は以下のように考えます。

1.頸椎症状・・・加齢による一般的な病態は、施術は適応

2.神経根症状・・一概に不適応とはいえませんが、慎重に

3.脊髄症状・・・禁忌または不適当、施術効果の持続なし


1.頸椎症状

頸椎症状による機能障害の改善には、当治療院がおこなう関節操作・矯正を中心とする施術は効果が期待できます。頸椎の可動性がよくなり、過剰な緊張が和らぐことで、痛みの軽減も促されます。


2.神経根症状

神経根症状がみられる場合、神経根が物理的に圧迫刺激を受けていることが予想されます。神経根を圧迫している因子が、過緊張や炎症を基調とするものなら、施術は適応といえます。頸椎の可動性の回復をはかりながら、血液循環を促していくことで、神経根への圧迫刺激は軽減していきます。

神経根を圧迫している因子が、骨性の変化や椎間板の著しい変性によるものなら、当治療院での施術効果は、あまり持続しないでしょう。また、長期間の圧迫により神経根部の組織に変性が生じていると、圧刺激が軽減されたとしても、多少の症状が残るかもしれません。


3.脊髄症状

軽度でも脊髄症状がみられるときは、原則として施術は禁忌としています。患者さん自身が、脊髄症状のリスクを理解したうえで、つらい症状を少しでも軽減できれば願って来院される方がおられます。しかし、保存療法による効果の持続は少なく、漫然と施術を続けても病態を悪化させる危険もあり、一般にお勧めはしていません。


施術の方針

当治療院がおこなう脊柱へのマニピュレーション・矯正刺激を中心とする施術方法は、退行性変化を基調とする頸椎症状には有効といえます。神経根症状は、一概に不適応とはいえませんが、施術の適応は慎重に判断します。

頸椎症状は、加齢に伴う頸椎の変形や周辺組織の変性など、様々な因子が重なり合って発症します。そのなかには、「可逆的な因子」「不可逆的な因子」があります。

・ 可逆的な因子には、神経根炎、関節機能の低下、過緊張、疲労、循環障害、浮腫など

・ 不可逆的な因子には、椎間板の変性、椎間関節の変性、椎体の骨棘形成など

骨性の変化が予想される患者さんでも、可逆的な因子を改善することで、症状の軽減をみる方は少なくありません。そこで、「可逆的な因子」「姿勢の歪み」に注目します。

可逆的な因子

頸椎症の好発高位として「C6‐C7,C5‐C6」に、歪みや固着を整える方向へ矯正刺激を施します。こうして頸椎の機能障害を癒しながら、可逆的な因子である頸椎周辺の過緊張、循環障害、浮腫、慢性化した炎症、関節の可動性の回復を促します。

姿勢の歪み

構造の歪みは、機能に悪影響を与えます。猫背などの悪い姿勢は、頸椎症を増悪させたり症状の改善を阻害したりします。そこで、好発高位である「C5‐C7」の関節面を牽引します。さらに、「姿勢全体から」歪みを整える方向に矯正刺激を施しながら、正しい姿勢を再学習するよう働きかけます。

施術は、可逆的な因子を改善することを目的として、以下の部位を中心にマニピュレーション・矯正刺激を施していきます。

1.C6‐C7,C5‐C6(好発高位)

2.C5‐C7(関節面の牽引)

3.姿勢全体から(とくに猫背)


1.C6‐C7,C5‐C6(好発高位)

頸椎症が最も好発する高位は、第6‐7頸椎間(第7頸神経)です。次いで第5‐6頸椎間(第6頸神経)が障害されます。下部頸椎を中心に、歪み・固着を整える方向へ操作・矯正刺激を施しながら、障害された機能の改善を促します。

過緊張で固着した頸椎の可動性が増すことで、関節からの運動刺激も増大します。太い神経が伝える運動刺激は、細い神経が伝える痛み感覚を抑制します。こうして痛みが緩和していきます。

頸椎の動きが大きくなることで血液循環もよくなり、炎症や浮腫が軽減し、組織の修復が促進されます。これにより、神経根症状をつくる圧迫刺激が軽減されていきます。


2.C5‐C7(関節面の牽引)

年齢とともに椎間板の水分が減少して厚みが薄くなると、上下の頸椎でつくる関節面が強く刺激されるようになります。とくに、ルシュカ関節では、過剰な刺激を受けると骨棘が形成されます。

日常生活で負担が大きく、症状が好発する下部頸椎を中心に、関節の付近にある小さな筋肉をゆるめながら、牽引、回旋操作を加えていきます。

牽引により関節面を広げ、神経根への圧迫刺激を軽減します。また、筋肉や靭帯の緊張がゆるむことで、可動性が増して血液循環も促され、痛みが緩和します。


3.姿勢全体から(とくに猫背)

猫背は、頸椎がつくるカーブ(前弯)を過度に強くします。頸椎カーブが強くなると、関節面が強く刺激されるようになり、頸椎症を増悪します。首と肩は協調して働いているので、胸郭を開いて猫背を伸ばすように、肩関節‐鎖骨を押圧します。

肩甲間部のコリを目印として、姿勢を整える方向に矯正刺激を加えます。また、第5腰椎と仙骨がつくる角度(腰仙角)が大きくなっても、補正作用として頸椎カーブが強くなります。そこで、姿勢全体に影響を与える骨盤の歪みにも矯正刺激を施しながら、正しい姿勢の再学習を促します。

正しい姿勢へのアプローチは、手技による操作・矯正のほか、ドロップテーブルによる矯正刺激を用いることがあります。このとき、感覚受容器が密集して存在する第1頸椎の横突起あたりや股関節周辺にも、機械的な刺激を入力します。


施術への注意

頸椎症は、退行性変化により関節面の適合性が悪くなっています。一度に頸椎をゆるめると不安定性が増して、症状を増悪させる危険があります。頸椎の機能回復は、徐々に促していく方が、効果を得るための早道になります。

筋肉のコリは、それなりの理由があってつくられます。関節面の適合性が悪くなり、頸椎が不安定になると、筋肉の緊張を高めてコリをつくったり、関節包を肥厚させたりしながら、不要な動きを抑制して痛みが発生することを防衛します。


施術継続の目安

頸椎の退行性変化があるので、単純な首肩こりを癒すよりも、小まめな加療が必要になります。神経根症状の場合、炎症による浮腫に加えて、組織の弱化が進んでいます。過剰な治療刺激は避けて、症状の責任高位(C5‐C7)に集中して矯正刺激を施します。

一般には、4回ほどの施術で痛みの緩和を感じることができると予想します。ただし、痛みが治まったころが半治りで、その後の養生+施術が重要と心得ます。

脊柱矯正・鍼療法 ほんがわ治療院
171-0022 東京都豊島区南池袋 2-13-10 キャッスル小林3階
03-3988-3467 完全予約制
momiryouzi@hkg.odn.ne.jp