女性の頭痛

症状・原因

片頭痛は、何らかの要因によって頭の血管が拡張し、血管のまわりの神経が刺激されることでおこります。片頭痛の発作期は、血管の周囲に炎症がともなうため、ズキンズキンと脈打つようなひどい頭痛となります。

とくに、こめかみにある側頭動脈が拡張して神経を刺激しているので、片側のこめかみから目のあたりに頭痛がおこります。頭痛がおこる側は、人によって異なり、両側が痛いこともあります。

女性にみられる片頭痛は、「生理、首肩こり、冷え性」がセットになっています。

生理

片頭痛の誘発する原因の一つとして、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関与しているといいます。生理時にエストロゲン(女性ホルモン)が急減すると、頭の血管が拡張して片頭痛が引き起こされます。

首肩こり

ひどい首肩こりは、三叉神経を刺激して片頭痛を引きおこします。とくに女性は、なで肩や首の筋肉が細いことが多く、不良姿勢による筋肉への負担が男性よりも大きくなります。

冷え性

“冷え”という概念は、東洋医学に由来するものです。漢方薬が処方される現代医学においても、冷え性と頭痛の関係は示唆されます。熱を生産する筋肉量が少ない女性の方が、より冷えを感じます。

片頭痛とともに、冷え性に関連する腰-骨盤-足首のツボ・反応点に、著明な圧痛が認められます。

施術のポイント

カイロプラクティック治効理論のなかに、片頭痛は交感神経系に属する脊柱高位に問題があるという理解があります(塩川,1999)。そのなかでも、L1~L2は女性ホルモンと片頭痛の関連において重視されます。

片頭痛へのマニピュレーション操作は、僧帽筋を中心に、交感神経系に属する脊柱高位(C6~T3)へ集中して施します。女性の患者さんの場合は、姿勢と斜角筋にも注視します。

基本操作・矯正(カイロプラクティック)

女性の片頭痛には

生理に関係する片頭痛の場合、脊柱高位(L1~L2)に矯正刺激を施すことで、頭痛の予防・軽減に役立つと思われます。片頭痛が落ち着くまでは、交感神経領域に集中して操作・矯正刺激を施します。

片頭痛が落ち着いた後

発作期のズキズキとした痛みが緩和すれば、副交感神経の領域である上部頚椎のコリや機能障害を直接的に癒していきます。また、冷え性の強い女性には、骨盤臓器と下肢への血流を促すことを目的に、仙骨への押圧操作・矯正を施します。

姿勢と肩こり

僧帽筋は、後頚部から上背部にある大きな筋肉として、肩こりをつくります。ただし、なで肩や首の筋肉が細い女性の場合、僧帽筋よりも胸鎖乳突筋や斜角筋に強いコリ感を訴えることが多いように思われます。

斜角筋のコリは、頚部を走行する自律神経に悪影響を与えます。複合的な不定愁訴があるときは、斜角筋を押圧・伸長していきます。

内臓マニピュレーションも

必要なら、子宮-卵巣と周辺組織の緊張緩和として、内臓マニピュレーションを追加します。

仙腸関節には、骨盤臓器に関するツボ・反応点が多数あり、副交感神経系の症状を整える刺激部位として、生理不順などに用いられます。

仙骨と冷え性

仙骨の裏には、たくさんの血管が密集しており、下肢への動脈が分かれる部位でもあります。そのため冷え性にも有効とされます。

仙骨への矯正刺激、マニピュレーション操作に加えて、反応点に円皮鍼を施します。また、足首には冷え性に関連する重要な働きを示す経穴・ツボが多くあります。これらに鍼療法を加えることもあります。

付 記

ライオン株式会社(2014)による「20〜40代女性の生理と頭痛に関する意識調査」では、この年代の女性が1年を通じて感じている不調の1位が「肩や首がこる」50%、2位が「手足が冷える」35%、3位が「頭痛」32%とあります。

そして頭痛を感じている女性のうち、約8割が生理前後に頭痛を感じています。生理を引き金とする頭痛は、片頭痛だといわれます。

片頭痛と女性ホルモン

エストロゲンの分泌量は、生理周期のなかで増減します。妊娠しやすくするために、生理の終わり頃から分泌量が増え、排卵直前にピークを迎えます。排卵が過ぎると減少し、生理が始まる頃には、エストロゲンは体内から急激に減少します。

生理時にエストロゲンが体内から減少すると、脳に影響を与えて、神経伝達物質であるセロトニンが急激に減少します。セロトニンには、血管収縮作用があります。そのためセロトニンが減少すると、反動で脳内の血管が拡張します(似田,2015)。

→ 血管が拡張することで、脈拍に一致した拍動性頭痛がおきる

→ 血管の透過性が亢進するとともに、痛み物質(プロスタグランジン、ブラジキニン)が放出される

→ 血管に浮腫がつくられ、次第に血管壁の厚みが増すなかで、拍動は減弱する

→ かわりに持続的な頭重感が現れる

血管が拡張して透過性が亢進すると、痛み物質(プロスタグランジン、ブラジキニン)が放出されます。とくに側頭動脈が拡張して、こめかみから目のあたりに拍動性の頭痛がおきます。

五十嵐(2002)は頭痛患者22人について、3ヵ月間の頭痛日記より頭痛発作回数を調べた。その結果、頭痛は月経の2日前から3日目に多いことを明らかにしています。

片頭痛にみる傾向

片頭痛は、女性に多くみられます。一般に、思春期から閉経期までが最盛期で、更年期を過ぎると軽減します。子どもの頃から始まり、家族歴が認められています。

性格として潔癖、几帳面、完全主義、自尊心が強く、野心家、能力が高いといわれます。ストレス・精神的緊張によりセロトニンが過剰に分泌された後、セロトニンが代謝されて急激に減少しても、生理時と同じような経過で片頭痛が発現します。

ただし、休日やリラックスしたときも片頭痛がおこります。血管を急に拡張させても収縮させても、どちらの変化も片頭痛を誘発するかもしれません。


五十嵐久佳(2002)月経に伴う片頭痛.診断と治療.90(6);p.877-882.

似田敦(2015)頭痛.現代針灸臨床論Ⅰ.12.22版.

ライオン株式会社(2014)20〜40代女性の生理と頭痛に関する意識調査.https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2014/pdf/2014094.pdf,(参照日2017年3月6日).

塩川満章(1999)臨床カイロプラクティック.ルネッサンス・ジャパン.