緊張型頭痛

症状・原因

緊張型頭痛とは、後頭部から頚肩部の筋肉がコリかたまり、頭を絞めつけることで神経が過敏となって生じる頭痛のことです。

頭と頚の連結部には、脳とからだを結ぶ脊髄だけでなく、たくさんの神経や血管が密集して通っています。そこは、重い頭を輪になった第1頚椎がのせて、第2頚椎の突起を中心に回転するという不安定な部位でもあります。

過緊張による神経炎

頭と頚の連結部は、弱点を補うように厳重に筋肉で守られています。そして、危険なストレスを察知すると、防衛反応として筋肉の緊張を高めて固くし、頭と頚の連結部を守ろうとします。

頭部の筋肉が過剰に緊張して、持続的に収縮した状態になると、筋肉の血液循環が悪くなります。そして、内部に老廃物がたまると、その物質が痛みの神経を刺激して、頭部から頚部に筋肉痛をつくります。さらに、その痛みが更なる刺激となり、ますます筋肉の緊張を強くして血液循環を阻害し、やがて神経に炎症をつくります。

神経炎になると、小さな刺激にも強く反応して、ズキンとした痛みを放散するようになります。

重苦しい痛みとコリ感を伴い

後頭下神経(C1 後枝)、大後頭神経(C2後枝)、小後頭神経(頚神経叢.C2C3頚神経前枝)は、後頭骨-上部頚椎の関節近くを通って後頭部の皮膚表面にでてきます。これらの神経が、後頭-頚部の筋緊張により圧迫・刺激され、やがて緊張型頭痛となります。

圧迫刺激は、「痛みの悪循環」を形成します。すると、いつとはなしに続く重圧感・頭重が、筋肉の分布と同じ部位にまとわりつくようになります。これが「はちまきをしめるように」「後頭部から首筋にかけて」と表現されます。

随伴する、めまい

最深部で頭を支えている筋群(後頭下筋)には、頭の位置をはかるセンサーがあり、平衡感覚も担っています。そのため、筋肉がこって緊張に左右差が生じると、頭の位置情報が脳に正しく伝わらず、フラフラとした動揺性めまいを感じることがあります。

この筋群の間隙には、椎骨動脈や後頭下神経(C1 後枝)が通ります。そのため、コリがつくる刺激によって、不眠症や気分不快などの不定愁訴が生じます(似田,2015)。

目の奥からの痛みも

大後頭神経は、頭頂部において三叉神経第Ⅰ枝(眼神経)末端と吻合しています。

後頭部のコリ感が強くなると、大後頭神経への刺激が三叉神経まで波及するようになります。そして、目の奥からの痛み、片頭痛へと移行します。

施術のポイント

頭痛をつくっている神経が、圧迫され刺激を受けている部位の過緊張を緩和していきます。第一に、神経の根元の過緊張をゆるめるよう、上部頚椎の関節面に操作・矯正刺激を施し、可動性=機能回復を促します。

筋肉の間隙から神経が出入りしている部位は、痛みが現れやすいツボ・圧痛点として、重要な治療部位となります。この圧痛点に対して、後頚部のコリ感=筋肉の緊張を和らげるように、持続的な圧刺激や牽引操作を施します。

基本操作・矯正(カイロプラクティック)

後頭骨-第1頚椎

動揺性めまい、不眠症、気分不快などの不定愁訴があるときは、後頭下筋の緊張度を整えるように、後頭骨-第1頚椎間に操作・矯正を施します。

第1頚椎-第2頚椎

後頭部から頭のてっぺんにかけて痛みがはしるときは、大後頭神経の緊張を和らげるように、第1頚椎-第2頚椎間に操作・矯正を施します。

目の奥まで差し込むような痛み、眼精疲労があるときも、頭頂部において三叉神経第Ⅰ枝(眼神経)末端と吻合している大後頭神経を標的に、この高位へ矯正刺激を加えます。

第2頚椎-第3頚椎

耳介の後方・後上方あたりの側頭部に重苦しさがあるときは、小後頭神経の緊張を和らげるように、第2頚椎-第3頚椎間に操作・矯正を施します。

上項線から押圧・牽引

大後頭神経・小後頭神経の走行経路に圧痛点が認められます。とくに頭半棘筋の停止部は、緊張緩和刺激点となるので、緊張をゆるめるように後頭顆を上方向へと押圧・牽引します。

経過の長い症状の場合、関節の可動性を促したり筋肉をゆるめたりしても、すぐにコリ感はもどってきます。そのようなときは、神経走行上で皮膚に現れた過敏な反応点=トリガーポイント治療刺激を施します。

また、歪みを整える方向に矯正刺激を施すと、歪みのなかに隠れていたコリが体表に浮き出てきます。このコリに円皮鍼を施すことで、歪みの状態に戻ろうとする働きを抑制します。

とくに、僧帽筋・胸鎖乳突筋へ

僧帽筋・胸鎖乳突筋に形成されたトリガーポイントに鍼刺激を加えながら、痛みと過緊張の軽減をはかります。

緊張型頭痛は、痛みをつくっている上部頚椎領域だけでなく、肩こりを整えることで、良い成果をみることは少なくありません。さらに全身のバランスをみて、鍼刺激を施すこともあります。

付 記

カイロプラクティックでは上部頚椎、とくにC1を重視するテクニックがあります(Specific Chiropractic,Atlas Orthogonal)。それらによれば、C1の変位により延髄・脊髄が侵害刺激を受けることで、様々な病気・不定愁訴の下地をつくるとされます。

B.J.パーマーは1930年に脳幹・延髄に影響を及ぼす場所は、上部頚椎であり、そこは人間と神との偉大なスイッチがあると述べている(塩川満章,1999)。

上部頚椎の変位と脳幹・延髄・脊髄への障害というと、治療院レベルでは検証の難しい問題となります。そこで、上部頚椎への矯正刺激の効能について、その機序を「上神経節」から理解しています。

上部頚椎への理解として

おそらく上部頚椎への矯正刺激は、最初に上神経節を刺激するでしょう。その効果が脳・脊髄にまで波及されると考える方が、矯正によりC1のズレが整うというより平易に思われます。不良姿勢による上部頚椎の変位が及ぼす延髄・脊髄への悪影響は、次の段階として施術を試みています。

自律神経の症状には

上神経節に治療刺激を加えるように、C2横突起を中心に押圧・揉捏、操作・矯正を施します。

上神経節は、C1-4の頚神経で構成される神経節で、C2横突起の約1cm前方にあります。交感神経節のなかで最も中枢の近くに存在するため、星状神経節ブロックよりも中枢に及ぼす効果は大きいと推察します。

頭痛を伴う頑固な肩こりでは、他にも随伴する症状があることは少なくありません。とくに、自律神経に関連する症状が、多く訴えられます。そのような場合、C2への操作・矯正刺激は良い効果を示すかもしれません。


似田敦(2015)頭痛.現代針灸臨床論Ⅰ.12.22版.

塩川満章(1999)臨床カイロプラクティック.ルネッサンス・ジャパン,p.36.