+αの施術に至り、そして 守破離→帰?

私が最初に手技療法を師事したのは、豊橋市の鈴木整形外科 院長 鈴木裕視医師でした。鈴木先生は、股関節の人工関節の研究を通した重心線(姿勢バランス)への理解から、臨床のなかにカイロプラクティックを取り入れておられました。

また、上京してからは、鈴木先生と親交のあった菊栄一先生からカイロプラクティックの手ほどきを受けました。さらに、塩川満章D.C.のガンステッド セミナーに参加したり、ハンズプラクティスカレッジ東京ではカイロプラクティック専科にて臨床総論・各論の講義を受け持たせていただいたりしました。

この時期に学んだ知識や技能が、当治療院がおこなう施術の基本となっています。

手技療法をご指導いただきました鈴木先生は、カイロプラクティックだけでなく、鍼療法(主に円皮鍼)や操体法なども整形外科の臨床で活用されておられます。当治療院では、鈴木先生が提唱する力学的和痛手技療法・経皮物理的刺激療法を治効理論として取り入れています。

そして、脊柱への操作・矯正(カイロプラクティック)を中心に、四肢からの運動操作(マニピュレーション)、鍼療法(円皮鍼)、マッサージを組み合わせたスタイルで、各人の病態やご希望に合わせて施術をプログラムいたしております。

開業当初は、ご指導いただいた鈴木整形外科医師 鈴木裕視先生の教えもあり、カイロプラクティックという名称を使っていました。そして、鈴木先生の臨床からカイロプラクティックを中心として、操体法、鍼療法、マッサージを併用してきました。

ところが、スコット ハルディマンはマニピュレーションについて、「より早い敏速のテクニック」と定義する一方、「脊柱マニピュレーション(spinal manipulation)という言葉は、過去あいまいに使用された。多くの場合、筋や関節の治療に用いられるすべての手技テクニックを意味した」と指摘しています。

臨床経験を重ねるうち、おこなっている種々混合の療法と純粋(ストレート)な脊柱操作・矯正は、区別する方が適切なのではないかと考えるに至りました。

マニピュレーションの定義を考慮して、より早い敏速のテクニックを「脊柱サブラクセイションに集中した操作・矯正」と「四肢の機能障害にまでひろげた操作・矯正」に区分しました。

そして、脊柱への敏速のテクニックを「カイロプラクティック」、四肢への敏速のテクニックに「ゆるやかな関節テクニック」であるモビライゼーション・ストレッチを含めて「マニピュレーション」、筋肉などへの軟部組織テクニックを「マッサージ」として、施術コースを4つご用意いたしました(平成29年8月まで)。

鈴木先生は、常日ごろ「ゴチャゴチャと理屈をこねているうちは、理解に至っていないのだ」といっておられました。なるほど、「これはカイロプラクティック」「あれはマニピュレーション」「マッサージは別もの」と無理に区別しようとしてきたのは、私の手技療法に対する理解が稚拙だったからかもしれません。50歳となり、そのように感じられるようになりました。

施術者となり28年、開業して20年となるのを機に、原点に回帰しようと考えます。とくに、肩こり・腰痛・膝関節痛なと運動器疾患の場合は、症状に関連する脊柱の歪み・固着を検査し、それを整える方向に操作・矯正刺激を施すことに集中して参りたいと思います。

その他に、鈴木先生の手技・主義を慕いながら鍼療法(主に円皮鍼)も探求していく所存にございます。また、カイロプラクティックと鍼療法の架け橋となる手技として、内臓マニピュレーションの技能向上にも努めていきます。

サクセスフル・エイジング(幸福な老い)における離脱理論というわけではありませんが、老年に向かって手技を集約しながら精進していきたいと、施術コースを改定いたしました(平成29年9月より)。


スコット ハルディマン:本間三郎.竹谷内宏明監訳(1994)カイロプラクティック総覧(2)エンタプライズ:p.624.

鈴木整形外科 http://kenkou00.ec-net.jp/

鈴木裕視(1975)重心線を記録した全身X線写真と重心動揺記録の併用による下肢機能評価の試み.醫科器械學雜誌.45(12): p.618-626.

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002530721

鈴木裕視(1979)X線写真でみる歪の発現とその変化(1).操体法写真解説集.柏樹社.

鈴木裕視(1994)試論「操体カイロ」の和痛機序と症例.マニピュレーション症例報告集.エンタプライズ.

鈴木裕視(1995)力学的和痛手技療法の治効促進.日本人の体質劣化対策(3).東三河医学会誌.17; p.31-42.